講談社現代新書<br> なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか

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講談社現代新書
なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか

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  • サイズ 新書判/ページ数 251p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062881135
  • NDC分類 778.7
  • Cコード C0274

出版社内容情報

映像で伝えられることや、想田流ドキュメンタリー「観察映画」について監督自ら語る。「何かを表現したい人」必読 !映画『Peace』のメイキングを通して語る、ドキュメンタリー論の快著!

著者・想田和弘は、いまもっとも注目される映画作家の一人。ニューヨークで映画を学び、卒業後もそのまま在住、テレビ・ディレクターとして、ドキュメンタリー番組を40本以上制作した。

2007年からは、事前のリサーチ・打ち合わせや台本なし、ナレーション、説明テロップ、音楽も使わない、「観察映画」と呼ぶ独特の方法論・スタイルでドキュメンタリー映画を撮っている。監督・撮影・録音・編集もほとんど一人で行う。これまでに、落下傘候補のドブ板選挙戦を描いた『選挙』、精神医療のタブーに切り込んだ『精神』と、一作ごとに大きな話題を呼んできた。

2009年のある日、彼は、韓国の映画祭から「平和と共存」をテーマとした映画を依頼された。テーマなしで虚心に撮るのを私是にしているのに先にテーマありきで、しかも「平和と共存」……「大上段すぎる」とためらいながらカメラを向けたのは、岡山で暮らし、福祉の仕事に携わる義父母とまわりの人々、義父が庭で世話する野良猫たちの静かな日常だった。

その作品『Peace』は、完成後、世界各地の映画祭で大反響を呼び、東京フィルメックスでドキュメンタリーでは異例の観客賞、香港国際映画祭では最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した。

・なぜ/どうやって、ナレーションや音楽なしでドキュメンタリーを作るのか?
・なぜリサーチや打ち合わせなどをしないのか?
・インディー映画作家の制作費や著作権について
・〈タブーとされるもの〉を撮って考えることは?
・客観的真実とドキュメンタリーの関係とは?

このような問いへの答えを率直に語る、ライブな表現論!

第1章 撮る者と撮られる者 
第2章 「台本」と「分かりやすさ」を捨てて――観察映画とは何だろう(基本編)
第3章 ドキュメンタリーの面白さ――観察映画とは何だろう(発展編)
第4章 一期一会のドキュメンタリー 
第5章 映画が連れていってくれる場所


想田 和弘[ソウダ カズヒロ]
著・文・その他

内容説明

なぜ/どうやって、ナレーションや音楽なしでドキュメンタリーを作るのか?なぜリサーチや打ち合わせなどをしないのか?インディー映画作家の制作費や著作権について。“タブーとされるもの”を撮って考えることは?客観的真実とドキュメンタリーの関係とは?映画『Peace』のメイキングを通して、このような問いへの答えを率直に語る、ドキュメンタリー論の快著。

目次

第1章 撮る者と撮られる者(映画祭からの短編依頼;平和な国で育った僕に資格があるのか ほか)
第2章 「台本」と「分かりやすさ」を捨てて―観察映画とは何だろう(基本編)(源流はダイレクトシネマ;同時録音の技術が生んだ ほか)
第3章 ドキュメンタリーの面白さ―観察映画とは何だろう(発展編)(「客観的真実」を描かない;主観の産物 ほか)
第4章 一期一会のドキュメンタリー(猫から義父へ;福祉有償運送 ほか)
第5章 映画が連れていってくれる場所(映画の編集とは何か;編集の手順 ほか)

著者等紹介

想田和弘[ソウダカズヒロ]
映画作家。1970年、栃木県足利市生まれ。東京大学文学部卒業後渡米、ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツ(SVA)映画学科卒業。在学中から現在までニューヨーク在住。台本や事前のリサーチ、ナレーションや音楽などを使わないドキュメンタリーの方法論・スタイルである「観察映画」を提唱・実践。その第1弾『選挙』(2007年)は世界200ヵ国近くでテレビ放映され、アメリカでは優秀なテレビ番組に与えられるピーボディ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

82
ナレーションや音楽をいっさい使わないでドキュメンタリー映画を著者は「観察映画」と呼ぶ。はじめにテーマありき=原因ではなく常にあとから発見されたりが著者の手法だ。一般にドキュメンタリーといっても全くそのまま撮っているのではなく事前のリサーチによる作者の意図が反映sされるもの。逆にこの観察映画とは見たままをそのまま撮ってゆくことで作り手が目にし耳にし体験した世界だ。とはいえ私は氏の「観察映画」を観たことがないのでこれ以上書くことはしない。まずその映画を観ることからこの本を読む順序にしたい。再読したい。2018/01/13

どんぐり

70
想田さんは、台本のないドキュメンタリー映画を撮る映像作家である。最近は、いろいろな媒体で政治的発言をしており、著作も多い。本書は、自称「観察映画」について、『選挙』『精神』『Peace』の映像作品をとおして、ドキュメンタリーに魅せられた世界を語ったもの。観察映画は、「撮影前に台本を作らず、目の前の現実を撮影と編集を通じてつぶさに観察し、その過程で得られた発見に基づいて映画を作るドキュメンタリー制作の方法論」である。ここには、ドキュメンタリー映画がどういうふうに創られているのか、その制作現場を覗いてみたよう2016/07/13

Sakie

18
ドキュメンタリー番組は、私が出会っていない世界を見られるから、視野が広がった気になる。義憤や公憤を覚える。しかしそれが新書書籍化されると、文章を読み慣れた身には違和感が生じる。その原因が今回解った。映像は様々なテクニックを使って作り手の意図を潜ませる。客観的事実を読んでいるはずなのに、例えば感情を喚起する表現が文章に顕在化すると、つまらないどころか不快なのだ。番組もまた客観的真実ではない。それに相反する形態で撮られる著者の「観察映画」はどのような感覚がするか、見てみたい。『「観察」の対義語は「無関心」』2018/09/09

takeapple

12
元々映画は好きだった。30年前東京で過ごした学生時代には授業にも出ないでほとんど毎日どこかの名画座に通っていたこともあった。ドキュメンタリーもだいぶ見た。田舎暮らしを始めると、年に数回子どもが見たいというアニメくらいしか見なくなった。レンタルビデオも車で1時間かかるし、地上波のテレビは映らないし、スカパーでBBCと自転車レースしか普段は見ない。ひょんなことから想田監督のお話を聞き、『選挙』を見て、授業にも使わせて頂き、民主主義って何だろうって考えている。観察映画と授業記録って似ているなと思う。2015/01/01

tolucky1962

11
独特の映画作成方法。先入観なく撮り続け、一期一会を捉える。今に意識を集中する。テーマは編集の中で固める。デジタル技術で時間当り費用が下がったことで可能となる手法。分かりやすさ至上主義でなく、観客に考えさせる。説明を加えず、長めの画面をできるだけそのままのつなげ、多義性を与える。だからこその力と美しさがある。そして、善悪二元論の危険性を逃れる。これを実現するために、常にブレない動画を撮れる基本技術が必要。 最終章には作品を売り込むための努力も書かれている。多くのの人の仕事に参考になる内容が多いように感じる。2018/12/20

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