内容説明
愛国心問題とスピリチュアル・ブームの共通点とは?
目次
序章 国家と個人、そして宗教
第1章 国家神道と自我の問題―「公」と「私」
第2章 戦前の新宗教の弾圧―正統と異端
第3章 知識人の苦悶―西田幾多郎と南原繁
第4章 戦後憲法の読み直し―市民的公共性
第5章 「個人」の擬似宗教の暴発―オウム事件
第6章 「国家」の擬似宗教の暴発―愛国心と靖国と
終章 「公共の福祉」のために―環境と共生
著者等紹介
稲垣久和[イナガキヒサカズ]
1947年、東京生まれ。東京基督教大学教授。専攻は哲学。1975年東京都立大学大学院博士課程修了(理学博士)。アムステルダム自由大学哲学部・神学部研究員、客員教授を歴任。1990年より現職。近年は、アカデミズムと市民的実践を結び付ける公共哲学運動に精力的に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りょーや
7
国や宗教に惑わされず、個人の意志を持つこと。かといってアナキストにならず社会性を持つこと。2020/06/08
かみかみ
0
評価:★★☆ 著者の論よりも、著者が引用したジェイムズや南原繁、西田幾多郎、ハーバマスらの議論の方が参考になった。2014/05/01
govoff
0
「市民の側が、友愛に基づくコミュニケーション能力と対話能力を高めること。そこから「甘え」ではなく「再生した自我」からの「契約」概念ん磨き上げ、市民がイニシアチブをとり ながら行政と話し合い、「公」を開いていく努力が必要である。」と筆者は述べる。 押し付けがましい広い意味での国民宗教や個人の主体性をないがしろにする宗教に安易に隷属しようとする現代人の精神に警鐘を鳴らす。 「滅私奉公」や「滅公奉私」ではない「活私開公」の精神が普及するかどうかは、我々一人一人の良心に基づく実践にかかっている。2014/05/24
じゅんすいむく
0
示唆的な事柄は多いけれど、他者を包摂する文化が日本には元来あってそれを生かしながら、日本において「寛容」の文化を打ち立てようといっている箇所は、ややナイーブで日本の思想史をきちんと追っているのかは少々疑問が残った。2014/05/02
Confy
0
「滅私奉公」ではなく「活私開公」。自分にとって大切な標語になっている。大学院時代、稲垣先生に、「学部の時は、先生のお話がよくわかりませんでしたが、今は少しわかるような気がします」と言ったら、少しほほえみながら「悟りましたね」とで言われたことが印象深い。2020/11/02