内容説明
近年、ようやくCSR(企業の社会的責任)という概念も普及してきた。しかし、労働に関するCSRについては日本国内の意識はまだまだ遅れていると著者はいう。いま、欧米系の多国籍企業を中心に企業行動要網が盛んに採用され、労働基準も含めたかたちでCSRが積極的に宣伝されはじめ、ブームとまでいわれるようになっている。一見、けっこうなことのように思われる。しかし、一皮むくとそこにはさまざまな思惑が交錯しているのだ。労働CSRの隠された本質とは、発展途上国の労働基準をアメリカの価値観に一元化し、それとは異質なものは排除しようというアメリカの外交手段(とくにアジアへの通商政策)なのだ。このまま日本の政財界が手をこまねいていると、またしても主体性がないまま欧米主導のしくみのなかで受け身の形で生きざるをえないということになってしまうのだ。
目次
第1章 いま、なにが起きつつあるのか
第2章 社会条項論と米国の隠れた戦略
第3章 国内法と国際法のはざま
第4章 OECDガイドラインとILOの三者宣言
第5章 企業はどう対応しているか
第6章 日本発世界標準をめざして
著者等紹介
吾郷眞一[アゴウシンイチ]
1948年、福岡市生まれ。東京大学法学部卒業。東京大学大学院、ジュネーブ大学大学院修了(博士)。埼玉大学、ILO(国際労働機関)を経て現在、九州大学大学院法学研究院教授。専攻は国際労働法、国際法。実務と理論を架橋する試みを重ね、新たな「アジア法」の概念を構築すべく努力している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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