出版社内容情報
お母さんを事故で亡くし、深い悲しみにくれる少年が、犬のリンデと過ごす毎日から「生きること」の確かさをつかみ取っていく物語
内容説明
だいすきなママを事故で亡くし、自分をうしないかけた少年リロと、飼い主のおばあちゃんを亡くし、リロの家にやってきた大型犬リンデ。死と生を、やわらかく問いかける、秋から冬への物語。
著者等紹介
ときありえ[トキアリエ]
1951年東京都に生まれる。編集者の父より多くの児童書をあたえられて育つ。ドイツ文学に傾倒し上智大学独文科に入学。結婚して渡仏、パリ第3大学に学ぶ。帰国後、子どもの本を書きはじめ、1989年、『のぞみとぞぞみちゃん』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。以来、創作とともに英・仏の児童書の翻訳も多い
高畠純[タカバタケジュン]
1948年愛知県に生まれる。愛知教育大学美術科卒業。1983年、『だれのじてんしゃ』でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞。2004年、『オー・スッパ』で日本絵本賞を、2011年、『ふたりのナマケモノ』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遠い日
6
主人公リロ(理一郎)は十歳。リロとバーニーズ・マウンテンドッグのリンデの物語。切なく厳しい話だ。生と死を理解し消化し、自分のことばで表すことができるまでの苦しみが濃密に描かれる。もがくリロの心が痛々しく、しかしその成長への歩みが確かな軌跡を描いていく。母の死、リンデの命、リンクする生と死のエネルギー。「ひとは生きるために生きて、そして、死んでいく」確かなことばを胸に、リロは前へ進む。2012/06/09
チルチルみちる
3
母親の死に気持ちの整理が着いたかと思っていてもなかなか簡単にいくものではなかった。リロと母親、リロと父親、母と父。きっとお互いを思いやる、仲のいい家族だだのだろう。老犬リンデがやってきて何に怯えてきたのか少しづつわかってきてどうにか先に進めるようにある。リロのように前に進まないとね。2015/02/20
すずえり
3
母親の死をどう乗り切るか。葛藤の中の10歳の少年の日常を描くが、生と死について、見えてくるものがあるかもしれない。小学校高学年から。2012/05/21
kentaro mori
2
本当に素晴らしい。電車の中で読んで、泣いてしまったので、外で読むときは気をつけてください。母が死んでしまった絶望にあっても、人は生きていく希望を見つけていく。見つけることができる。スピノザである。●・・・・・・だいじょうぶ!/ボクは、ぜったいに死にません。/生きているかぎりは。/ボクは、死ぬまで、生きていくんです!2021/09/05
にゃも
2
事故で突然母親をなくした少年の内面がとてもよく描かれている。少年の喪失感と恐怖に対し、共に暮らすことになったバーニーズマウンテンドッグのどっしりとした安定感。このバランスがすばらしい。2014/04/12