講談社+α文庫<br> 誘蛾灯―二つの連続不審死事件

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講談社+α文庫
誘蛾灯―二つの連続不審死事件

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  • サイズ 文庫判/ページ数 512p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062816397
  • NDC分類 368.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

上田美由紀、35歳。小柄で肥満、鳥取のスナックのホステス。彼女の周りで6人の男が死んだ。木嶋佳苗事件に並ぶ怪事件の闇を追う!上田美由紀、35歳。小柄で肥満、鳥取のスナックのホステス。彼女の周りで6人の男が死んだ。この事件の背景には、木嶋佳苗事件とは別の深い闇がある。
――美由紀に騙されていたのは、あなただったかもしれない。

2009年秋、30代の太った女二人が、それぞれ男と関係を持ち、カネを貢がせ、死に追いやっていた――。木嶋佳苗事件との共通項の多さから、世間の話題を集めた鳥取連続不審死事件。筆者は鳥取に通い、上田美由紀と面会し、彼女に騙された男たちに取材を重ね、二つの事件は似て非なるものだと確信する。
鳥取の事件の背景にあったのは、日本の地方をじわじわと覆う闇――人が減り、町が廃れ、仕事を失い、生活が立ちゆかなくなった田舎で生まれる、弱者が弱者を食い物にする状況――だった。

木嶋佳苗が獄中ブログを始めるきっかけとなり、「私の事件を取材してくれていたら…と思い続けたジャーナリスト」と言わしめた一冊が、大幅加筆のうえ、文庫化!

2009年秋、当時35歳の木嶋佳苗の周囲で、複数の男性が不審死した事件が話題を集めていた。同時期、別の連続不審死事件が浮上する。現場は鳥取、主役は上田美由紀、スナックのホステスだった。
二つの事件には驚くほど共通点があった。主役はどちらも30代半ばの小柄な肥満体型の女で、亡くなった男たちと肉体関係を持ち、多額のカネを貢がせていた。美由紀に惚れ込んだ男たちのなかには、刑事や新聞記者もいた。
しかし、二つの事件の背景はまったく異なるものだった。佳苗が高級マンションに住み、外車を乗り回し、セレブ相手の料理教室に通い、婚活サイトを利用して男を物色していたのに対し、美由紀は過疎の進む鳥取で5人の子どもとボロ家に住み、場末のスナックでターゲットを探していたのだ。
筆者は、事件現場、スナックに通い、裁判を傍聴する。美由紀に惚れ、貢ぎ、騙された男たちをみつけ、話を聞く。そして、拘置所にいる美由紀とも面会を重ねる。
そうして、木嶋佳苗事件からは決して見えてこない、この事件の深層――地方の貧困との関係があらわになっていく。人が減り、町が廃れ、仕事を失い、生活が立ちゆかなくなる。そこで生まれる、弱者が弱者を食い物にする犯罪。それは、いまの日本社会に覆いかぶさろうとしている闇だ。

序章
第1章 太ったホステス
第2章 一人目の男
第3章 二人目の男
第4章 三人目の男
第5章 県警の蹉跌、男たちの蹉跌
第6章 なぜ溺れたのか
第7章 ウソツキだけど可愛い女
第8章 「真犯人」は誰なのか
第9章 「真犯人」の証言
第10章 美由紀との対話
第11章 「みちづれ」
第12章 ラブ・レター
第13章 松江にて―美由紀との対話2
第14章 男のウソと女のウソ
終章 美由紀と佳苗―二つの連続不審死事件


青木 理[アオキ オサム]
著・文・その他

内容説明

上田美由紀、35歳。小柄で肥満、子ども5人を抱える鳥取のスナックのホステス。彼女の周りで6人の男が死んだ。この事件の背景には、木嶋佳苗事件とは別の深い闇がある―。なぜ男たちは騙され、カネを貢ぎ、それでも彼女を愛したのか?美由紀と面会し、取材を続ける筆者のもとに木嶋佳苗からのラブコールが届き、事態は新たな展開を見せる!鳥取連続不審死事件と、首都圏連続不審死事件―彼女たちに騙されていたのは、あなただったかもしれない。

目次

太ったホステス
一人目の男
二人目の男
三人目の男
県警の蹉跌、男たちの蹉跌
なぜ溺れたのか
ウソツキだけど可愛い女
「真犯人」は誰なのか
「真犯人」の証言
美由紀との対話
「みちづれ」
ラブ・レター
松江にて―美由紀との対話2
男のウソと女のウソ
美由紀と佳苗―二つの連続不審死事件

著者等紹介

青木理[アオキオサム]
1966年、長野県生まれ。ジャーナリスト、ノンフィクションライター。慶應義塾大学卒業後、共同通信社に入社。警視庁公安担当、ソウル特派員などを務めた後、2006年に退社、フリーに。テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

135
「場末のバーみたいな…」と言う時の「場末感」を初めて体感した気がする。これほどのものとは。被害者の男たちのいた世界は、そこではなかった。しかし、彼らは自らの世界ではすでにはぐれていて、だからこそ罠にかかったのではないか。そしてそこに居場所を求めた。愛していると熱を込めて言われ、全身で頼られることは人生にそうはない。だからそんな言葉にすがり付く男や女がいるのだろう。美由紀はオンナ女衒だ。最後の、木嶋佳苗も含めた3人の応酬は醜い。作者が最後にそれに気付くのが救い。命の価値が分からなくなる生活の荒みが凄まじい。2017/07/21

yumiko

69
2009年鳥取で発覚した男性ばかり6人の連続不審死事件。同時期に逮捕された木嶋佳苗の影に隠れ、正直似たような事件との印象だった。性悪女に騙された馬鹿な男達の話かと、半ば決めつけていたところもあった。しかしこの一冊を読む限り、闇の深さは想像を超えるものだった。男と女、都市と地方、富者と貧者…決して紋切り型の対比として書かれているわけではない。けれど自分の知る世界とのあまりの落差に、眩むほどの恐ろしさを感じてしまった。おそらく真実は永遠に分からない…底なし沼を覗き込むような、得体の知れない気味の悪さが残った。2017/05/13

きょちょ

19
同時期に起きた連続不審死事件の、鳥取の上田美由紀の方。東京の木嶋佳苗との共通点は、ブ〇・デ〇・金の亡者・嘘つきといったところか。異なるのは、著者の言う「鳥取というかなり閉鎖的社会」で、酒とセックスしか楽しみがない男たちが被害者ということか?しかし、木嶋の被害者も実人生に不満足な点で言えば同じかもしれない。でもまあ、何でこんな女に数百万からそれ以上もつぎ込むかね?いや、大昔、北新地の変な姉ちゃんに毎日のように通った私にはそんなこと言う権利はないわな。嫁さんにこの感想読まれないことを祈る( ´∀` )。★★★2020/07/08

ひねもすのたり

13
本書はいわゆる首都圏連続不審死事件と同時期に発覚した鳥取連続不審死事件を取材したルポルタージュ。 二人の容疑者の容姿から似た事件と思われがちですが、全く異なる要素を持っています。父親の違う5人の子供、ゴミ屋敷・・男たちはなぜ異界に住む女に近づき騙されたのか?そのあたりは消化不良の感が否めません。 ただ逆の言い方をするなら読者はそれぞれに自分の推論を差し挟む余地があるということです。 事件のきっかけとなった魔窟のデブ専スナック。ドアを開けヤバい!と思った瞬間、男たちは異界に取り込まれたようにも思います。★42017/06/05

緋莢

11
ある一人の女性の周りで複数の男が死んだ。しかも、死んだ男たちはその女性に金を貸す、貢ぐなどしていた。こう聞くと木嶋佳苗の事件を思い浮かべますが、この本で取り扱っているのは鳥取で起きた「鳥取連続不審死事件」です(木嶋佳苗の方は首都圏連続不審死事件)。この事件で逮捕された上田美由紀は際立って美しい容姿の持ち主でない、というのも木嶋佳苗の方と共通します。6人の男性との出会いとその後 どのように死んだのかが書かれていますが、1人目の新聞記者、3人目の刑事に関しては、その職業にまず驚きました(続く2018/12/16

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