目次
1 「超越」という問題(物と知覚;電子の存在;他我問題;知覚像語の構成)
2 無限集合を生成する言葉(二元論批判;「超越」の正体;知覚因果説への応答;物と知覚の重ね描き)
3 立ち現われ一元論への転回(「心の作用」の否定;知覚と思い;世界そのものが立ち現われる;たち現われの虚と実)
4 立ち現われの風景(想起と過去;四次元宇宙と有情の世界;重ね描き・無脳論・脳透視;他我の虚想とアニミズム)
5 言語的制作の可能性(語り存在;過去の制作;経験の時間と制作された時間;自我と他我)
著者等紹介
野矢茂樹[ノヤシゲキ]
1954年、東京に生まれる。1985年、東京大学大学院博士課程修了。北海道大学文学部助教授を経て、東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻は哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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白義
6
多分、他人の手による本格的な大森哲学の解説は今のところこれ一冊ではないでしょうか。これは驚くべきことです。というのも、大森荘蔵は廣松と並び日本の戦後哲学の大峰であり、自分自身で哲学をした独創的な思想家の代表者だからです。分析哲学の学説ではなく手法を使い、他我や世界解釈など超越的なテーマに切り込んだ彼の哲学を、内的問題に従い、前期から後期まで再構成した本書は分かりやすく、野矢茂樹のコメントも鋭いですね。大森荘蔵本人の著作も分かりやすいので、ぜひ本書から進んで読みたいところです2011/08/14
greenman
4
大森荘蔵の哲学をショーケースに並べるように紹介するのではなく、著者自身の批評や、あるいは前期・中期・後期といわれる大森氏の哲学をつなげてみたりする、意欲的な本。本書を読むと実際に哲学をするということは考え抜くことであり、生涯の思想に一貫していない部分があったとしても、それは実際に哲学にぶつかってきた証拠だというのがよくわかる。知覚の問題、構成概念の問題、他我の問題、過去の問題など、大森氏が生涯とりくんだ哲学は常にこの問題群に入れ替わり立ち代わりして戻ってくる。中でも僕には「立ちあらわれ一元論」が興味深い。2012/07/13
テツ
3
科哲で学ぶ友人から借りた一冊。哲学とは思考した結果ではなくその思考の過程が重要であり、その過程を含めて哲学と呼ぶのだという意味が何となく理解できた気がする。学び続ける道において思想が一貫していないことが見受けられても、それは真摯に思考を重ねて自らの哲学を研ぎ澄ましていったということの証なんじゃないだろうか。大森哲学について本人の書かれた物をもう一度真剣に読み直してみたいと思った。2015/07/18
koji
3
知覚因果説、重ね描き、二元論批判、無限集合、立ち現われ一元論、想起と過去、無脳論、他我、語り存在・・・。野矢は、大森の前期、中期、後期の思索の過程を追いながら、「哲学することの手触り」を読者に伝えています。改めて、大森の「自分で何を言っているかわからない言葉は使わない」凛とした厳しさを感じました。分かりにくいことにも価値があります。2010/04/14
wisewise
1
難しいけ度、一理あるとおもうことが、たくさんあります。2011/07/09