出版社内容情報
東野 圭吾[ヒガシノ ケイゴ]
著・文・その他
内容説明
「私たち、お父さんのこと何も知らない」。胸を刺された男性が日本橋の上で息絶えた。瀕死の状態でそこまで移動した理由を探る加賀恭一郎は、被害者が「七福神巡り」をしていたことを突き止める。家族はその目的に心当たりがない。だが刑事の一言で、ある人物の心に変化が生まれる。父の命懸けの決意とは。
著者等紹介
東野圭吾[ヒガシノケイゴ]
1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者Xの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
301
加賀シリーズやはり好きです。前作と同じ日本橋が舞台もあってか人間味溢れる捜査が素晴らしい。その事件の真相にたどり着くことはとても無理だが、散りばめられた伏線を回収していく後半はお見事!『麒麟の翼』それに込められた様々な人物の想い、最後は涙涙でした。これは映画見て実際の土地勘をじっくり味わいたい。2014/02/19
おしゃべりメガネ
227
7年ぶりの再読でしたが、やはり最後は思っていた以上に涙腺がヤラレてしまいました。珍しく?加賀さんがアツくなるシーンが描かれ、そんな加賀さんのセリフにシビレてしまいます。本作に限らず、加賀さんのシリーズは家族や親子の愛、友情としての絆の大切さが多数描かれていますが、教育もまた大切なテーマとして扱われています。年頃の子を持つ親となった自分が改めて読み返すとココロにズシンと響く感じが残りました。大切な人を信じ続ける信念の強さや、本当に大切に守るべきものは何なのかを改めてしっかりと考えさせてくれる作品でした。2018/02/12
KAZOO
197
文庫での加賀シリーズの最新作です。すでに映画も見ていて内容はわかっているのですが、イメージ的にもキャストはぴったりの感じでした。さまざまなちょっとしたことが絡んでこのような事件を複雑にしてしまうということで事件の持って生き方がうまいと感じました。またある意味家族がらみの話だという気がしました。2016/10/28
mizshnami
194
不幸が重なり、保身が事件を複雑にした。加賀刑事の最大の武器である粘り強さが真相を究明したが、この物語は世の父親に子育てという難題をあらためて投げかけたのではないか。我が子の幸せを願うのは親として当たり前だが、どんな道を歩ませるか。その分岐点に立った時、青柳武明のような決断ができるか。自分自身に問いかけられているような気がした。2014/05/10
イアン
192
★★★★★★★★★★2024年最初の一冊は2012年に映画化された加賀恭一郎シリーズ第9弾。日本橋の上で男性の刺殺体が発見された。容疑者の男は逃走中に撥ねられ意識不明となるが…。解決済みと思われた事件の裏に潜む疑問を、加賀と松宮が解き明かしていく。なぜ被害者は瀕死の状態で日本橋を目指したのか。結末の意外性、推理に至るプロセス、胸に迫る真相といずれも非の打ちどころがなく、まさに東野ミステリの最高峰だ。並の作家なら「偶然」で片付けてしまうその邂逅を「偶然」と感じさせない構成力にも脱帽。加賀の人情が際立つ傑作。2024/01/02