出版社内容情報
33歳のシングルマザーは、なぜ幼い命を手にかけたのか? そこに「殺意」はあったのか? 真実を炙り出す、力作ノンフィクション。
33歳のシングルマザーは、なぜ幼い命を手にかけたのか? そこに「殺意」はあったのか? 真実を炙り出す、力作ノンフィクション。
内容説明
二〇〇六年秋田で、二人の児童の遺体が見つかった。逮捕されたのは、亡くなった女児の母でシングルマザーの畠山鈴香。しかし彼女に「殺意」はあったのか?著者は、悲惨な生い立ちと裁判の杜撰さを追い、検察の強引な死刑求刑とも、弁護側とも異なる、独自の「真相」を提示する。各紙誌絶賛のルポルタージュ!
目次
第1章 蒼ざめた町
第2章 渦巻く疑惑
第3章 犯行への長い導火線
第4章 秋田地裁第一号法廷
第5章 ふたつの鈴香像
第6章 空転する論告求刑、そして判決
第7章 遺された者の苦悩
第8章 病んだ心を裁けるか
著者等紹介
鎌田慧[カマタサトシ]
1938年、青森県弘前市生まれ。ルポライター。トヨタの季節工として働いた経験をルポした『自動車絶望工場』(’73)で注目を浴びる。’90年、『反骨 鈴木東民の生涯』で新田次郎文学賞、’91年、『六ヶ所村の記録』で毎日出版文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
detu
48
著者の思いがずっしりと伝わった。犯罪を犯す者の心理、生い立ち。有罪極刑に追い込みたい行政組織、警察検察。旧態依然の方法しか持たない弁護団、裁判員制度を迎えスピード化を図る裁判所。被告「畠山鈴香」はちゃんと裁かれたのか?そして全てを語ったのか?著者の思いは最終章に込められていた。犯罪を犯す者に思いを寄せ、裁く者、裁判所、検察、弁護士、全てに疑問を抱く著者。人は何故つもを犯す。必ず動機要因があるはず。だがそれを全て解明するのは困難極まりない。真実はどこにある?捻じ曲げられた裁判に何の意味があるのだろう?2016/04/15
らむり
35
タイトルがこの事件の焦点をうまく言い当てていると思います。遺族感情は理解できても証拠がないことには。。2014/03/21
バトルランナ-
27
この本読むまで忘れていた。この事件。分かりやすい。いい本だと思うな。『健忘』を強引に責め立てるのは一種の拷問行為。P190。連続殺人じゃないと死刑にならないんだ。P284。EUってフランスを含めて死刑やってないんだ。過去10年間に死刑を実施した国42カ国。絶対廃止国97カ国。10年以上実施していない国が48カ国。その他7カ国。広汎性発達障害。言語連想検査。作り込みに不満はないな。5点満点で4.6点。2015/10/15
ネギっ子gen
26
秋田連続児童殺人事件の畠山鈴香。警察が「(豪憲君より前の我が子の)彩香事件」を事件ではなく、事故として捜索を打ち切ったのに、なぜ当の鈴香が「事件だ」と騒ぎ立てたか? 明らかに自らにとって不利な筈なのに。この事件は不明な点が多い。ルポルタージュの名手・鎌田慧による2年半の取材記録。<罪は裁かれるとしても、隣りの犯罪者への理解を深めるためには、「なぜ、彼女が罪を犯してしまったのか」、それを思いやる寛容が必要>という姿勢に共感。で、この事件に限らず、加害者のほとんどが家庭で虐待され学校でいじめにあっているが……2019/10/16
ランフランコ
8
真実を知りたいという事だろうが、精神的な病気に原因を持っていくと何が本当なのか解らなくなる。どうも畠山鈴香よりに論じられてる感は否めない。そういう見方は否定しないが・・・。不幸な生い立ちであるし、つらい人生であったろうし、病気もあったのかもしれないが、何の罪もない2人の子供を殺した(鈴香の子供は事故かもという話だがそれはちょっと信じ難い)事実はあまりにも罪が大きい。無期が適切な判決かは解らないが、裁判員制度の元で裁かれていれば死刑判決だったのではないか。剛憲君のご両親は到底納得できるものではないだろう。2017/12/16