出版社内容情報
柳 広司[ヤナギ コウジ]
著・文・その他
内容説明
「巨大な敵に狙われている」。元警視庁SPの冬木安奈は、チェスの世界王者アンディ・ウォーカーの護衛依頼を受けた。謎めいた任務に就いた安奈を次々と奇妙な「事故」が襲う。アンディを狙うのは一体誰なのか。盤上さながらのスリリングな攻防戦―そして真の敵が姿を現した瞬間、見えていたはずのものが全て裏返る。
著者等紹介
柳広司[ヤナギコウジ]
1967年生まれ。2001年『黄金の灰』でデビュー。同年『贋作「坊っちゃん」殺人事件』で第12回朝日新人文学賞を受賞。’09年『ジョーカー・ゲーム』で第30回吉川英治文学新人賞と第62回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
126
チェスを知らない当方にとって、ストーリー展開よりもチェスの世界のことが強く印象に残りました。2017/12/17
おかむー
102
元SPを主役にしたサスペンスだと思わせて、終盤で明かされる真実に唸らされる見事なミステリー。『よくできました』。主人公である元警視庁の女性SP・安奈はなし崩し的に天才チェスプレイヤーであるアンディ・ウォーカーの護衛を行うことになる。国家的な陰謀にしてはちぐはぐな状況、何かを隠した護衛対象者、合間に挿入されるアンディの回想、すべての要素が過不足なく収まってゆく展開は見事ですよ。ただ「SPもの」というにはアクションよりも推理や駆け引きが軸となるのでラストの収め方などもいくぶん政治的なところが肩透かしかな?2016/10/22
セウテス
97
六本木のバーダズンで働く冬木安奈、実は合気道の達人であり元SPである。物語はチェスの世界王者アンディ・ウォーカーの護衛を、頼まれる事から始まる。探偵役の安奈のキャラ設定がたいへん興味深く、読み出したら止まらない。安奈がSPを辞める原因となった話や、アンディの人生チェスの蘊蓄などバランス良い構成だろう。安奈が以前の繋がりに助けられながらの展開も、引き込まれる要因だと思う。ミステリとしては謎解きが出来ない事が残念だが、それ以上に元米国大統領から狙われているという話から、この終幕では少々物足りないのではないか。2020/03/16
ehirano1
86
『音楽ファンであれば自動演奏されたモーツァルトの楽曲をわざわざお金を出して聞きには行かない。理由は「美しくないから。そしてその美しさは“有限(の生)”に起因する』、と。本書ではありませんが、「不老不死は不幸だ。なぜなら、限りある命を一生懸命に生きるからこそ、美しいのだから」というコメントをたまたま見ました。なんだか通じるものがあるような気がしました。2020/03/08
じゅん兄
85
ちょっと油断して読んでいたらすっかり騙されました。トリック自体は目新しいものじゃないけど、チェスの含蓄が多いなとかアンディの幼年時代が長いなとか余計なことを考えながら読んでいたら本筋を外れていました。読み終わってみると、主人公や脇を固める人物が魅力的な割には展開が物足りないし、ラストがちょっと尻すぼみかなと思うけど、今回は見事に騙されたので文句は言いません(笑)2015/08/22