講談社文庫<br> そろそろ旅に

電子版価格
¥900
  • 電書あり

講談社文庫
そろそろ旅に

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 563p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062769020
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

「弥次喜多」を生んだ十返舎一九、漂泊の青春時代を描く。直木賞作家渾身の長編。江戸の大ベストセラー『東海道中膝栗毛』作者は、いかにして「道を外れた」のか。
「弥次さん喜多さん」の生みの親、十返舎一九が作家として立つまで。
漫画家しりあがり寿氏、嫉妬! 直木賞作家が贈る“笑って泣ける”時代小説!

『東海道中膝栗毛』で一世を風靡(ふうび)するのはまだ先のこと。若き日の十返舎一九(じっぺんしゃいっく)、与七郎は平穏な暮らしに満たされず、憑(つ)かれたように旅を繰り返す。駿府から大坂、そして江戸へ。稀代のユーモア作家が心に抱いた暗闇とは何だったのか。意外な結末が深い感動を呼ぶ、直木賞作家渾身の長編小説。<解説・しりあがり寿>

いやー、とても一九さんにはかなわない。(略)一九先輩、もしかして『東海道中膝栗毛』の弥次喜多が求めていたのも、そして先輩自身が求めていたのも、「リアル」だったんじゃありませんか? ――漫画家 しりあがり寿氏(『真夜中の弥次さん喜多さん』『弥次喜多 in DEEP』作者)――<本書解説より>

東へ西へ
大坂という町
道頓堀の出会い
嵐の前後
打ち壊し
様がわり
異国の香り
それぞれの道
外道の誘惑
婿の座
筆の旅立ち
勝負事の行方
焼けぶとり
二度目の災難
夢の旅立ち
江戸の風
泡の暮らし
二度目の見合い
恩人の餞別
故郷の風
道は惑わず
エピローグ


松井 今朝子[マツイ ケサコ]
著・文・その他

内容説明

『東海道中膝栗毛』で一世を風靡するのはまだ先のこと。若き日の十返舎一九、与七郎は平穏な暮らしに満たされず、憑かれたように旅を繰り返す。駿府から大坂、そして江戸へ。稀代のユーモア作家が心に抱いた暗闇とは何だったのか。意外な結末が深い感動を呼ぶ、直木賞作家渾身の長編小説。

著者等紹介

松井今朝子[マツイケサコ]
1953年京都府生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了後、松竹株式会社に入社し歌舞伎の企画・制作に携わる。退社後フリーになり歌舞伎の台本等を手がける傍ら、1997年『東洲しゃらくさし』で小説家デビュー。同年『仲蔵狂乱』で第8回時代小説大賞を受賞。2007年『吉原手引草』で第137回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

goro@80.7

56
なんだか己のように身につまされた十返舎一九の物語でありました。故郷も捨て武士も捨て流されるように自分の居所を探すような与七郎の姿が愛おしくて切なくて遣る瀬無い。男なら判る!と何度頷いたことでしょう…。運がいいのかフラフラと腰が落ち着かないところなど、まぁ若旦那にも廓通いにも縁は無いがあぁこれは俺の事かと思うのです。俺とは違い一九さんは女の方が放っておかないんだね~しかし女房を泣かせすぎやで一九さん!京伝、馬琴、三馬とそんな時代だったのだね。一九さんそろそろ旅に出てもいいですかね。2019/03/28

saga

37
奥付は2011年3月15日第1刷。この頃読んだ本(何かは失念!)に触発されて江戸の紀行に関連する本を数冊購入したうちの一冊。変な先入観が無かった分、十返舎一九の伝記的小説ということも意識になかったため、読む驚きがあった。山東京伝、馬琴、写楽、豊国、北斎等々、教科書に出てくる有名人が同時代にいた凄さ。臣従する太吉という不思議なキャラクター。一九という戯作者の生涯を通して、江戸の生活が伝わってきて良かった。2016/11/06

ロッキー

28
『東海道中膝栗毛』の著者、十返舎一九の若かりし頃の話。大坂と江戸の町人の生活が活き活きと描かれていた。やはり全く異なるものですね。戯作の世界だけでなく江戸文化の香遊びや人形浄瑠璃といったのも出てきて楽しめた。一九は素直で思いやりがあるんだけど、反面、この男はひとつの場所にじっとはしておられず、つなぎ止めて置くのは無理だろうと思うと薄情のような憎たらしく見えてしまった。でもそこから傑作が生まれた訳だが。あとは、弥次喜多道中のような話を勝手に思い込んでいただけにちょっと残念だったかなあ。2011/06/20

kishikan

21
江戸時代の歌舞伎や芸能などを書かせたら、右に出る者はいない松井今朝子さんが、十返舎一九のことを書いた本。今回も、浄瑠璃、歌舞伎、花街なども交え、当時の生活風景が目に浮かぶ。それにこの物語の一九の話は結構史実に沿っていて、加えて様々な登場人物の性格を独自の視点で色付けしているので更に味わい深くしている。一九と言えば「野次、喜多の二人」なので、ここでも死別した幼友達の霊を引き連れているが、この謎が最後に明かされるというミステリ構成は、松井さんの新機軸だ!唯一、一九の煮え切らない性格に、苛々するところが欠点。2011/06/02

駄目男

12
まあ、何と言うか時代小説は斯くありなんとでも申しましょうか、素晴らしい書き手ですね。感心したのはストーリー以上に、その表現ですね、江戸言葉や武家言葉の何と巧みなことか。まるで江戸時代の人が書いているようで流石に直木賞作家だけあって絶賛したい。主人公は重田与七郎貞一という武士で、同心から戯作者になった将来の十返舎一九の物語だが、「東海道中膝栗毛」を書く手前あたりで筋書きは終わる。文体の鮮やかさに参った。故事、ことわざなどを巧みに取り入れ、恐ろしく教養豊かな女性で、時代小説作家としては理想的と言ってもいい。 2020/04/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/2854051
  • ご注意事項