内容説明
腕っぷしの強い幼なじみのアキラと、都会から来た知的な転校生カツミ。そのどちらとも友達になったケンジはある日、残酷な決断を迫られる。時に誇りに顔を輝かせ、時に苦いくやし涙を流しながら、次々に立ちはだかる見えない敵と渾身の力をふりしぼって戦いつづける少年たちの姿を描く、胸に迫る長編小説。
著者等紹介
阿部夏丸[アベナツマル]
1960年愛知県豊田市生まれ。’95年に書下ろし『泣けない魚たち』でデビューし、第11回坪田譲治文学賞、第6回椋鳩十児童文学賞をダブル受賞。『オタマジャクシのうんどうかい』で第14回ひろすけ童話賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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piccoro116
1
BEPALでお世話になる阿部夏丸氏ならではの作品。きっとこのような少年時代を送られたのかなと思います。灰谷健次郎作品のような読後感。お子さんの夏休みの読書感想文にお勧めしたい。2016/06/05
うどん
0
ケンジの夏をじっくり書いた作品。 色んな経験をして、少しずつ大人になっていく。大人は子供達にもっと大切な事を教えていかなければ。2017/02/16
バジルの葉っぱ
0
なんとなく時間つぶしのために買った本で、大きな期待もしないで読んだのだが予想以上に良かった。見えない敵=自分の存在意義を脅かすものという感じか。それはある時はよそ者だったり、大人たちだったり…。ところでケンジの友人のカツミは、心はどこにあるのかを、どうして知りたがったのだろうか。心=自己と感じているからかしら…?2010/10/03
プリン
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待望の文庫化。一息で読み終えました。都会と田舎の相克という普遍性を持ったテーマが、伊勢湾台風の年に生まれた少年を通して描かれます。表題にある「見えない敵」とは、いわば「心の闇」。深淵なテーマを児童文学の中に盛り込んだ秀作でした。2010/07/25