内容説明
父の仇を江戸の町に追う由比三四郎は、ある日、女郎屋に売られる娘おさとを助けた。しかし人買いの恨みを買い、首に五十両の賞金をかけられてしまう。次々と挑んでくる刺客、朋友の僧・快延、鳥舟で空を飛ぼうとする若者、妙に人なつっこい人買い―多彩な人間模様の中から、やがて仇討ち相手が見え隠れし始める。第12回中山義秀文学賞受賞作。
著者等紹介
池永陽[イケナガヨウ]
1950年、愛知県豊橋市生まれ。岐阜県立岐南工業高等学校卒業。グラフィックデザイナー、コピーライターなどを経て、1998年『走るジイサン』で第11回小説すばる新人賞受賞。2002年『コンビニ・ララバイ』が「本の雑誌」上半期ベスト1に選ばれる。『雲を斬る』で第12回中山義秀文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とし
29
「珈琲屋の人々」を書かれた作家さんなのと?と思うほどビックリ。剣の腕前はそこそこ、女性には弱い、寺子屋の師匠をしているが毎日の生活には困窮しているが、自分の命を懸けて人助けをする、お人よし、人に意見に流される、周りの人に励まされている変わった主人公。特に巳之吉さんには励まされる事ばかり。「すてさるということは気持ちのいいものです。もっとも何かをすてさることは、何かを得ることだと私は思っていますが」巳之吉さんが三四郎に投げかけた言葉が印象的。読み応えのある1冊でした、池永陽さんの時代小説を読んでみよう思う。2013/09/06
たぬ
13
☆4 池永氏2冊目。適当に手に取ったら苦手意識の高い時代小説だったわ。でもこれ、主人公がそこそこの剣豪で武士で成人男性のわりに無駄に威張ってないし情に厚く不器用で好感が持てる。寺子屋のちびっ子たちに言い負かされているし17の娘っ子やアラフォーの姐さんにタジタジ。私も蒟蒻の煮つけを食べたい。鳥舟で飛びたい。2020/10/11
Mc6ρ助
12
2006年中山義秀文学賞受賞作、なかなか曲者が多そうなこの賞に相応しく、どこかおかしな人たちがどこかおかしなお話を繰り広げるが、チャンバラ小説の顔をした現代小説といってしまえばなんの不思議もない気もする。とはいえ、運籌流(うんちゅうりゅう)なんて聞いたこともなく、藤沢周平御大オマージュらしい「氷柱折り」なる必殺剣にこころ踊らせてしまった。これも続編の期待をしょうがないのが残念と言わせてもらおう。2022/04/17
kaorin
3
爽やかなエンターテイメント2016/07/15
五葉フクヤ
1
もはや鳥舟いらなかったんじゃないかと思う。2016/01/28