講談社文庫<br> 大本営発表という権力

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講談社文庫
大本営発表という権力

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  • サイズ 文庫判/ページ数 258p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062761345
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C0195

内容説明

大本営発表は、あの時代、単なる戦況報告ではなく権力そのものであった。意図的な情報のみを一方的に押しつけられ、「事実」は国民に隠されたのだ。関係者の証言をはじめ、発表回数や発表場面、発表の表現等の当時の資料を解析することにより、何が見えたのか!大本営発表の登場から消滅までを解説する。

目次

第1章 大本営発表の開始(第一回目の衝撃;諦め、熱狂、無関心 ほか)
第2章 大本営発表という組織(曖昧な組織;二つの報道部 ほか)
第3章 大本営発表の思想(悩める知識人;東條がつくった国民囲い込みの「外壁」 ほか)
第4章 大本営発表の最期(「大本営発表」から「大本営及帝国政府発表」へ;シビリアンコントロールの「産みの母」 ほか)
第5章 大本営発表からの教訓(大本営発表の歪みからみる日本軍の特質;アッツ島玉砕にみる日本軍の欠陥 ほか)

著者等紹介

保阪正康[ホサカマサヤス]
1939年、北海道札幌市に生まれる。同志社大学文学部社会学科卒業。日本近代史、とくに昭和史の実証的研究を志し、各種の事件関係者の取材を続ける。個人誌『昭和史講座』(年2回刊)を中心とする一連の昭和史研究で、2004年、第52回菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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みなみ

8
Kindle Unlimitedで読了。太平洋戦争を戦況によって時期を区分し(開戦直後の勝っている時期から終戦直前の崩壊期など)時期により大本営発表の内容を考察・分析する。勝っている時は戦況が正確に詳しく伝えられていったが、負けが混んでくると言葉に修飾が増え、内容が曖昧になっていくさまが伝わる。また、大本営が新聞や報道に口を出して細かい語句まで直させたことも書かれている。そのような嘘で塗り固めた空間がずっと続いていたのは異常なことだ……2022/10/30

siomin

1
太平洋戦争中に軍部により発せられた大本営発表。それはいったい何なのかを掘り起こした一冊。 「大本営発表」には胡散臭さがありますが,日本軍の威勢の良かった初期は事実を述べていたものの,戦況悪化に連れて虚飾が目立ち,最後は発表すら滅多に出されなかったという流れは興味深いところ。虚飾のなかには願望まで混じっていたようで,目を覆うばかりです。 もともとは「大本営発表は生きている」の題名のように,今とて政府なり会社なり団体なりの発する情報はすべて真実だと思わず,知る権利を守るべきと警告しています。その通りですね。2015/11/19

くわたろ

0
大本営発表とか、戦時の情報統制の研究。戦況が悪くなるほど勇壮な修飾語が増えてくるのがなんとも。そもそも昭和期軍人のなんちゃって漢文が読みづらい。陣中日記や従軍記はまだいいけど、公的な文書になるほど悪文なのよね。大本営報道部員の読書量が少なかったとは思えないけど、修飾過多の悪文を良しとする価値観が蔓延していたのか。2008/10/12

すばる

0
「大本営発表」とは国民を騙すためのものと思っていたが、意外にも太平洋戦争初期(勝利していた時期)にはきちんと発表されていたとか。戦局が厳しくなると国民には徹底的に嘘をつくように変化している。同じ事態が現在で起こるなどあり得ないが、間違った情報に踊らされないようにしっかりと教訓を胸に刻もう。2019/11/20

ふみ

0
保阪氏は本書の中で「私は大本営発表がつくりだした言語空間は、私たちの本来の文化や伝統ではないという認識である」と述べていらっしゃいますが、とてもそうは思えませんでした。 大本営発表こそ、井沢元彦氏がその多くの著書で取り上げている日本古来の「言霊」および朱子学(宋学)の影響が最悪の形で出てしまったものだと思います。 全滅ではなく玉砕、撤退ではなく転進、敗戦ではなく終戦等々。言葉を置き換えることで現実から目をそらす、空虚の世界に逃げ込む。まさしく言霊と朱子学の影響ではないでしょうか。

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