講談社文庫
我、拗ね者として生涯を閉ず〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 471p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062759076
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0195

内容説明

敗戦、引き揚げ、GHQ支配に戦後民主主義教育現場…そして社会部のエースへ。戦後の激動の日本を生き抜いた作家が何よりも大切にしていたのは、「世俗的な成功」よりも「内なる言論の自由」を守り切ることだった。「人が人として誇り高く生きること」を希求し続ける、渾身の自伝的ノンフィクション。

目次

第7部 社会部が社会部であった時代
第8部 渾身の「黄色い血」キャンペーン
第9部 病床で飽食日本を斬る
第10部 正力コーナーへの嫌悪
第11部 さらば、読売新聞
絶筆 拗ね者の誇り

著者等紹介

本田靖春[ホンダヤスハル]
1933年、京城に生まれる。ノンフィクション作家。’55年、早稲田大学政治経済学部新聞学科を卒業、讀賣新聞社に入社。社会部、ニューヨーク特派員などを経て’71年退社。『誘拐』で講談社出版文化賞(ノンフィクション部門)、『不当逮捕』(講談社文庫)で講談社ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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Willie the Wildcat

24
遊軍。拗ね者の天職か!?社会部と政治部の対比が、著者の哲学を如実に描写。更に興味深いのが「正力氏vs.渡邉氏」。新聞社の変革を通した”新聞記者”の哲学。社会的意味の有無!同感。真骨頂は「黄色い血」。(自己犠牲に触れることもなく)その社会性に疑いの余地はない。”記念メダル”レベルであるはずがない!”小骨”は記者魂の象徴!著者の言動の一貫性と対照的に、世知辛い世の中だよなぁ、と感じる。2014/10/04

Miyako Hongo

17
矜持ってのは「武士は食わねど高楊枝」だったり、江戸っ子の粋だったりする訳で、早い話がやせ我慢。ただ、皆がやせ我慢することで叶う事もあるんだよなあと。□民主主義を支えるジャーナリストとして、より良い世のために意地を張り通した男の一代記。公器である新聞が社主一人の意見によって紙面を変えるのが許せず会社を飛び出す。己の信を貫く人生を最後まで全うし、世を憂いつつ逝ったようだ。□何が幸せかは判らないが、羨ましい生き方ではある。□嫁さんは苦労したろうな、と思いつつ読んだが、補稿の下りは徒者じゃない感バリバリだった。2017/02/26

CTC

9
下巻。この連載中、本田靖春氏は大腸ガン切除、壊疽により右足切断、続き左足、そして右目失明、肝ガン他を患っている。何度もの休載を挟み当稿は最終回を残して絶筆となるが…著者は連載を通して自身の病状をほぼ語らず、変わらぬ筆致を続けている。 圧巻はやはり昭37年からの“黄色い血追放”キャンペーンの項だ。当時外科医療の発展で輸血量が増大、国はこれを「売血」で賄った。売血は山谷・釜ヶ崎などドヤ街で横行。結果肝炎の大流行と労務者の堕落を招いた。著者は靴墨を塗って潜入取材し一大キャンペーン。言論で「売血」を一掃した訳だ。2016/11/14

てら

7
短かった読売新聞社会部の全盛期、その記者としてのプライドと「由緒正しい貧乏人」の叛骨が、筆者をここまで熱(苦し)い正義漢として貫徹させた。たいていの正義の人は口ばかりだが、筆者は己の行動と記事だけで売血資本に立ち向かい、一時的にせよ勝利したのだから本物だろう。ただ好漢惜しむらくは…などと言うのはよそう。一見昭和のオヤジの繰り言に見える部分も、2019年の現代から見ると意外なほど本質を衝いているところがある。「日本はこのまま貧乏な方がいい。そうでないと目が醒めない」というところは残念ながら外れたが…2019/06/23

くろすけ

4
手がけたノンフィクション作品のことや当時の政治や報道の様子、個性的な記者のことが書かれ、下巻の方が面白い。読み進めていくうちに「上巻の頃より体調が良い?」と思うほど文章が生きいきとしているが、編集付記を読むとそんな事はなく、糖尿病の三大合併症はどれも重症でガンも患い、連載を完結する事なく亡くなっている。書く意欲、社会への強い関心と権力批判の姿勢が死際まで衰えない。著者の名は講談社ノンフィクション作品賞に冠している。私は著者の本はこれが初めてだが、本来ならノンフィクション作品から触れる方が良かったと思う。2023/08/19

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