内容説明
統合とリストラの嵐の中、早期退職に応じ銀行を去った藤倉。妻を亡くし、娘は結婚して一人暮らしをはじめた彼は、次第に酒浸りの毎日となっていった。だが、ある男と出会い、古巣の理不尽さを目の当たりにしたことから、藤倉の人生は再び動き出す。巨大銀行相手に闘いを挑む彼。失った誇りは取り戻せるのか。
著者等紹介
高任和夫[タカトウカズオ]
1946年宮城県生まれ。東北大学法学部卒業。三井物産入社。’83年に『商社審査部25時』を発表。以降、作家とサラリーマンの二足のわらじを履き続ける。’96年、50歳を機にして、国内審査管理室長を最後に三井物産を依願退職、作家活動に専念する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まつうら
48
タイトルから、不当な債権回収を迫ってくる銀行に中小企業が逆襲するストーリーを想像したが、銀行を早期退職したものの、何もすることがなくて飲んだくれている中年の物語だった。朝から缶ビールを開け、昼は持参したスキットルで一杯。夕方から深夜までは飲み屋のカウンターで泥酔という、文字通り酒浸りの毎日。行間に高任作品特有の、厭世観というか劣等サラリーマン感情が滲み出し、主人公の藤倉は著者自身じゃないかと思わせる。最後の数ページで債券奪還を果たした後、小説家にチャレンジしようと言い出すのも著者っぽいのだが???2023/03/15
Syo
17
なかなか凄い話2024/03/08
らっこ
2
妻の死をきっかけに銀行を辞めた男の、一人暮らしの中で周囲の人間と紡がれるお話。裏のあらすじとタイトル、作者の経歴から主人公がいつ仕事に取り掛かるのかと読み進めましたが、そもそも経済小説じゃなかったというオチ。いやでも期待は裏切られましたが、これはこれで面白かったです。生きていく中で、慣れほど怖いものはないなと再認識。楽で楽しいも、いつかは楽な部分だけになってしまう…充実した生活を送るには、視点を変える努力や刺激を自ら取り込む必要があるのかも知れませんね。2014/12/07
08041511
1
淡々と進む日常が終盤に向かいチョイ盛り上がって終わる。 しかし文章がきれいなせいか、飽きずに読み進められしかも面白い。 不思議な作品2019/07/07
Yuji
1
もっと硬派で派手な内容かと勝手にイメージしていたが、実際には中年男性の淡い恋を主軸にした内容で、切った張った的な部分はほとんど無い地味でこじんまりとした小説。でも、タイトルに惑わされなければ、それはそれで楽しめる作品です。2016/03/27