出版社内容情報
信長の度肝を抜いた鉄砲集団の若き頭目
戦国最大の鉄砲集団・紀州雑賀衆を率いる雑賀孫市は、自らも鉄砲の名人にして、無類の女好き。そんな孫市が、なんと信長の妹君を見初めてしまった。仲を取り持つ骨を折った木下藤吉郎に請われ、織田勢の敦賀攻めに同道するのだが……。底抜けの楽天主義、傲岸さ、明るさを備えた奇男児を描く著者会心の長編。
赤羽織
お寧々
女の軍略
女房担ぎ
出陣
鉄砲衆来着
火術
風雲動く
敦賀攻め
金ケ崎退却
鉄砲芸
闇鉄砲
京へ
姫御料人
すばる星
雑賀へ
雑賀城
和歌浦騒動
法専坊
鷹ノ巣岬
片男波
堺へ
鉄砲鍛冶
鉄砲仙斎
その当時
鉄砲守護神
司馬 遼太郎[シバ リョウタロウ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さつき
72
雑賀孫市を主人公にした活劇。孫市は当時の新兵器である鉄砲を得意とする雑賀党の若様。何ものにも囚われず執心するのは女だけ。自由すぎる孫市の生き方に、周りは振り回されっぱなし。下巻ではどんな騒動が巻き起こるのか!楽しみです。2019/08/26
レアル
69
時は戦国。当時最先端とされた鉄砲を武器に戦う集団雑賀党の跡取り、雑賀孫市物語。戦争職人として誰にも属さずに生きる孫市。そんな孫市を女色好きで痛快に描く。一番の読み処は金ヶ崎の退却戦で殿を努めた秀吉こと藤吉郎と孫市の場面。小説とはいえ迫力ある場面を手に汗握る思いで読んだ。物語は本願寺vs.信長になりつつある。史実の結末は知ってはいても、どのように物語が進んで行くのかが楽しみである。2017/09/13
びす男
56
戦国時代に勝敗のカギを握った鉄砲軍団、雑賀衆。その若旦那である雑賀孫市が主人公。3000人の精鋭を率い、自らも鉄砲の扱いに秀で、豪放磊落な女好き。じつに魅力あふれる主人公だ。からりとした性格の孫市と、時代を率いる信長、秀吉たちとの掛け合いが面白い。どの登場人物も人柄が濃く、それでいて時代全体の「画」のバランスは崩れない。じつに面白い時代である。上巻は孫市が織田勢につくか、本願寺につくかというヤマを中心に話が進む。日本史に疎く、結末を知らないので楽しい。続きが気になる。明日、下巻を買う。あとで書評かきます。2015/03/09
たつや
51
物凄く、漫画チックな構成でした。傍若無人な男が城下に忍び込んだと、噂が広まる。なぜなら、真っ赤な羽織を来て日本一の旗をはためかせ、馬が金二枚というのに無造作に金五枚を投げ、釣りで、酒でも食らえと捨てぜりふをはく。で、寧々と藤吉郎のベッドーンもある、秀吉、信長も出てくる豪華な展開。これは痛快で面白い。映画でやるなら孫一は山田孝之か織田裕二がいいななどと考えながら読む。2016/11/11
ユカ
49
信長が鉄砲部隊をうまく操ったのは知っていたけれど,孫市はそれの筆頭なのかしら? 紀州雑賀衆の王子様(笑)として生まれた鉄砲の達人,雑賀孫市のお話です。和田竜さんの『小太郎の左腕』を連想しつつ,手に取りました。この王子様が真面目な女好きとして描かれるのは…著者の演出ですよね。読みやすく,長さを感じない本です。寧々のあるセリフに対しての,「今でいえば京マチ子か岡田茉莉子と名乗るようなもの」という著者のツッコミ(しかも自作自演)に,時代を感じて微笑しました。下巻が楽しみです。2016/05/31