講談社文庫
ワイルド・スワン〈上〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A6判/ページ数 340p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062756600
  • NDC分類 936
  • Cコード C0136

内容説明

十五歳で著者の祖母は軍閥将軍の妾になる。中国全土で軍閥が勢力をぶつけあう一九二四年のことであった。続く満州国の成立。直前に生まれた母は、新しい支配者日本の過酷な占領政策を体験する。戦後、夫とともに共産党で昇進する母。そして中華人民共和国の成立後、反革命鎮圧運動の只中で著者は誕生する。

目次

第1章 「三寸金蓮」―軍閥将軍の妾(一九〇九年~一九三三年)
第2章 「ただの水だって、おいしいわ」―夏先生との再婚(一九三三年~一九三八年)
第3章 「満州よいとこ、よいお国」―日本占領下の暮らし(一九三八年~一九四五年)
第4章 「国なき隷属の民」―さまざまな支配者のもとで(一九四五年~一九四七年)
第5章 「米十キロで、娘売ります」―新生中国への苦闘(一九四七年~一九四八年)
第6章 「恋を語りあう」―革命的結婚(一九四八年~一九四九年)
第7章 「五つの峠を越えて」―母の長征(一九四九年~一九五〇年)
第8章 「故郷に錦を飾る」―家族と匪賊の待つ四川省へ(一九四九年~一九五一年)
第9章 「主人が高い地位につけば、鶏や犬まで天に昇る」―清廉潔白すぎる男(一九五一年~一九五三年)

著者等紹介

ユンチアン[ユンチアン]
張戎。1952年、中華人民共和国四川省宜賓市生まれ。14歳でしばらく紅衛兵を経験したあと、農村に下放されて農民として働き、「はだしの医者」、機械工場の鋳造工、電気工を経て四川大学英文科の学生となり、のちに講師となる。1978年にイギリスへ留学。1982年に言語学の博士号を取得。現在ロンドンに在住

土屋京子[ツチヤキョウコ]
1956年愛知県生まれ。東京大学教養学部卒業。英字誌編集者を経て、現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

121
ひとことで言うと、現代中国のすさまじい歴史を描いた強烈な秀作だと思う。現代中国を描いた作品としては、山崎豊子『大地の子』があまりにも 有名だが、『ワイルド・スワン』はノンフィクションであるがゆえに、たまらない緊迫感が伝わってくる。それにしても、(私はよく知らないのですが)「文化大革命」とは中国にとって、一体何だったのだろう、といつも思う。 集団の狂気ではかたづけられない、やるせない思いをいつも感じてしまう。2010/05/19

ehirano1

115
上・中・下と三巻構成ですが、上巻だけで腹一杯。戦争と文化的新旧交代の激動に翻弄されながら、著者一家は人生のそして世代の糸を紡ぎ続けます。その糸は事ある毎に攻撃に曝されますが、切れることなくキレることなく(←これ大切!)紡ぎ続けます。本書は読み手に体力を要求する作品なのですが、続きが気になるので頑張って(?)中巻へ!2022/09/24

空猫

47
市井(中流階級)の女達(三代)の体験記がこうも劇的で面白いとは。母が語った彼女の生涯を娘(著者)が文に起こしたという作品。もっと早く読めば良かった。中国の近代史(清朝-日本-共産党)と共に、絶対的な家長制度、個人よりも親類縁者を優先する慣習、礼節にしきたり、纒足を始めとする女性蔑視…とあらゆる角度の中国が庶民目線で把握できる。何かにつけて「拷問、処刑(リンチ)」の中国人も(|||´Д`)。やっと著者が生まれた処。中巻へ。2021/09/12

ころりんぱ

43
お隣中国の壮絶な歴史が綴られている。祖母、母、私の女性三世代のノンフィクション。著者の祖母はまだ女性に名前をつける習慣のなかった時代、意思とは無関係に婚姻させられ時代の波に翻弄される。纏足って、言葉では知っていたけど、どれだけの自由を女性から奪っていたのかという事、女性が虐げられていた事、初めて知る事実に震え上がる場面も多い。共産党員として革命のために活動する母の生き方も色々と衝撃的です。日本で言えば戦後復興期、中国で起きていた内戦、共産党内での粛清や監視の様子、淡々と語られるからこその怖さがある。2014/02/23

イノ

39
筆者の祖母の代からの物語。纏足を始め狂気めいた風習と文化に苦しめられるなか結婚する祖母。これだけでも十分波乱に満ちた人生だが、理不尽な中信念に生きる母も強くて凄い。   革命を経て共産党と毛沢東の大躍進。 夢見たものが儚くも散って 中国全土を巻き込んだ狂乱の宴は熱量を帯びて鳥肌が立った。 たびたび訪れる束の間の平穏は本当に暖かくて癒される。   舞台は私の物語へ続く。 これがノンフィクションだなんて信じがたい。よく出版できたな。    とてつもなくお勧めだけどエネルギーを使うんで 下巻はゆっくり読みます。2016/10/30

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/515996
  • ご注意事項