出版社内容情報
桐野 夏生[キリノ ナツオ]
著・文・その他
内容説明
「私の中の何かが死んだ」出所を心待ちにしていた男が四年前に獄中自殺していた。何も知らされなかった村野ミロは探偵を辞め、事実を秘匿していた義父を殺しにいく。隣人のホモセクシャルの親友。義父の盲目の内妻。幼い頃から知っている老ヤクザ。周囲に災厄をまき散らすミロを誰もが命懸けで追い始めた。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
363
桐野作品を時系列で読んでこなかったものだから、本書ではいきなり村野善三は亡くなってしまうし、38歳になったミロはなんだか荒んだ気配を漂わせながら逃避行へと、戸惑いを隠せないまま上巻を終えた。また、この巻の最終章では、前後の脈絡なく唐突に光州民主化闘争の只中に入ってゆくのだが、その意図も下巻では明らかになるのだろう。ただ、ここまでかかって、ようやく小説世界の時間に追い付いてきた感があり、後半は一気に桐野ワールドへ。2018/08/10
おしゃべりメガネ
119
「ミロ」シリーズ第4弾です。流れは確かに引き継いでいますが、冒頭からこれまでの流れを全て断ち切るかのような展開からスタートし、どんどん話が飛躍していくので、ついていくのに大変です。しかし、ここまで大胆に話の主軸を変化させる勇気には改めて桐野さんの意気込みを感じます。まだ上巻とはいえ、これまでの「ミロ」シリーズとはあまりにも雰囲気が違う流れに、これはこれでこれからの展開が非常に楽しみです。これまでに出てきた人物達もしっかりと出てくるので、ある意味安心しますが「ミロ」の'変貌'ぶりに誰もが驚くでしょうね。2018/12/20
ehirano1
94
「嫌だと激しく思うことは、実は快楽の扉をひとつ持っていることと同じなのだ(p106)」。これは文学なのでしょうか?哲学なのでしょうか?それとも両方なのでしょうか??ムズカシイけど物凄く興味深いです。2021/09/14
ehirano1
91
まさかまさかの開幕に唯々唖然。やっぱり著者はミロを壊しにかかっていると確信しました。この後一体どうなるのでしょうか。下巻が待ちきれません。2018/08/05
優希
90
出だしから衝撃を受けました。「私の中の何かが死んだ」。出所を待ち望んでいた男の獄中死を知ったがために義父を殺しに行くミロの想いはどんなだったのか想像するに耐えません。周囲に災厄を撒き散らすように行動し始めたミロを命がけで追い始める人々。殺しに向かうミロに待つ運命はどのような方向に動いていくのでしょう。下巻も読みます。2017/12/13