出版社内容情報
司馬 遼太郎[シバ リョウタロウ]
著・文・その他
内容説明
江戸の道場をつぎつぎと破り、剣名もあがった千葉周作は諸国回行に出ることを決意した。まず目指すは当時、最大の剣門「馬庭念流」の本拠地、上州。かって馬庭念流の剣客に敗れたことへの雪辱と、兵法の国・上州で名を売れば天下の剣は滔々として「北辰一刀流」になびくであろうと考えてのことだった。
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
1923年大阪市生まれ。大阪外国語学校蒙古語科卒。産経新聞社勤務中から歴史小説の執筆を始め、’56年「ペルシャの幻術師」で講談倶楽部賞を受賞する。その後、直木賞、菊池寛賞、吉川英治文学賞、読売文学賞、大佛次郎賞などに輝く。’93年文化勲章を受章したが、’96年72歳で他界した。『竜馬がゆく』『坂の上の雲』『翔ぶが如く』など“司馬史観”と呼ばれる著書多数がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kazi
28
ふう、面白かったー。下巻は全編にわたって、上州に降り立った周作と、古流剣術・馬庭念流の剣客たちとの死闘です!剣術から無用の装飾的要素を一切排除し、純然たる力学的な剣術としての北辰一刀流を完成させようとする周作。周作による技術革命は、形稽古・組み太刀を専一とする古流派にとって容認することができないものでした。両流による抗争は激化し、文政五年・伊香保神社に額を奉納しようとする北辰側と、それを阻止しようとする馬庭側で、あわや合戦か??という事件となります。この辺の物事の推移。流派のトップとしての周作の苦悩。2020/06/16
あまなつ
12
「間合をとり、会釈をした。この会釈の瞬間、相手の技倆から性格、癖までを直感的に見ぬける者が剣の上手とされている」「それ剣は瞬息 心気力の一致」 剣術家ってかっこいいい!!!見えないものを全身で見ようとする力を磨くのが剣の道なのですね2023/07/27
ぼちぼちいこか
12
千葉周作は武者修行と北辰一刀流の技を広めるため上州で道場破りを続ける。出る杭は打たれる。恨みを買う。これは通過点で避けることは出来ない。さらに技に磨きがかかり、時の人となる。すごく良いところで物語を終わらせる司馬氏の粋な創作。もっと読みたいなあと思ったのだが、幕引きがすごくいい。2019/04/15
海
12
★9。北辰一刀流の千葉周作の一代記。ほぼ上州での出来事が下巻の中心でしたが、欲を言えば流儀を確立してからの化身のような強さの千葉周作も、もっと描いてもらいたかったです。しかし、全体的には非常に面白く読み終えました。お薦めです♪2016/10/24
姉勤
12
自らの北辰一刀流を興すため、上州に乗り込んだ千葉周作。馬庭念流の道場を次々に破り、弟子を数多く取り込んでいくが、後に国定忠次を生む上州という土地柄が、双方の弟子たちの狂躁を呼び一触即発の緊張を招く。周作と弟子達の関係が、剣術の師と弟子と言うよりも親分と子分、合戦は出入り、和解は手打ちに近く、まるで仁侠小説を読んでいるかの感覚に。のちに編み出す相手の心理を言葉によって揺さぶる「舌刀」も、第一声で相手を呑む、その筋の隠語「ケンノミ」に似て。現代剣道の基となった千葉周作の剣の賑やかな生のエピローグは少し寂しい。2013/11/12