目次
第1章 十九世紀秩序の解体―『全体主義の起源』を読む(前編)(『全体主義の起源』の謎;十九世紀政治秩序 ほか)
第2章 破局の二十世紀―『全体主義の起源』を読む(後編)(国民国家体制の崩壊;「社会」の解体 ほか)
第3章 アメリカという夢・アメリカという悪夢(アメリカとヨーロッパ;『革命について』 ほか)
第4章 政治の復権をめざして(労働・仕事・活動;アレントの政治概念 ほか)
著者等紹介
川崎修[カワサキオサム]
1958年生まれ。東京大学法学部卒。立教大学法学部教授。専攻は政治学・政治学史
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感想・レビュー
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白義
12
「全体主義の起源」を中心にアーレントの分かりやすそうで分かりにくい考え方が今までよりすっきり理解できるのと同時に、わからなくさせる部分も含めて優れた入門書。アーレントの政治概念の意味は複数性や世界といった独自タームと密接に関連し、今普通政治という言葉で意味されるところの経済や民族問題とは距離がある。かといって、実存主義的なのかというのも無論それも違う。おそらく政治と公共を破壊するであろう全体主義の起源を中心に読んでいくところから、わからないなりに少しだけ政治という言葉の意味が逆照射されるのだろう2012/11/26
takashi1982
4
現時点でアレント研究をしようと思ったら、乗り越えなければならない存在となった川崎修氏によるアレント解説本。アレントの思想は難解というよりもJ.ロック以降の近代政治思想に慣れたアタマからすると独特ゆえに腑に落ちない思想だ。それを時代状況も含めて分かり易く論じている。これを手がかりにアレントの著作に挑戦すると、アレント思想のユニークな面白さが分かるだろうと思う。2014/03/31
yakumomutsuki
2
アレントの政治観や哲学,思想は難解であり,それを理解させてくれる川崎修氏の手腕には敬意を評すべきだろう.アレントの入門書として推薦される著作であるとともに,アレント批判をしたハーバマスなどについて言及している点も評価でき,アレントが学説史上,どのように評価されてきたかも理解できる内容となっている.なお,ネーション論やマルクスの唯物史観,ヴェーバーの官僚制など,諸概念を理解しているとさらに理解が進むであろう.2011/03/05
bass
1
図書館で借りた旧版にて読了。恐らくいきなり『全体主義の起源』から解説したのは失敗。本書巻末の主要著作ダイジェストによると、『過去と現在の間』は『人間の条件』以降で用いられる独自概念の用語集でもあり、『革命について』はアメリカの肯定可能な部分を解説することで、アーレントが評価する政治のあり方を示している。これらを先に解説し、対比させ、『パーリアとしてのユダヤ人』と『全体主義の起源』を解説すべきでは? 少なくともアーレントの全体像、『全体主義の起源』と『人間の条件』が難解なこと、これはよく分かった。2018/04/23
ぐっさん
1
入門書としては難しいがアレントの思想の全体を俯瞰するのには良い。 とりあえずわかりやすそうな全体主義の起源と人間の条件を次に読んでみたい。2014/08/03