出版社内容情報
●メルロ=ポンティ(Maurice Merleau‐Ponty 1908‐1961)
フランスの哲学者。コレージュ・ドゥ・フランス教授。後期フッサールの影響をうけ現象学的思考を展開し、第二次大戦直後の実存主義と、60年代にはじまる構造主義とをつなぐ重要な役割を果たした。また、サルトルとともに『レ・タン・モデルヌ』誌を創刊するなど、戦後フランスの思想界の第一世代として大きな足跡を残す。主著に『行動の構造』『知覚の現象学』『シーニュ』『見えるものと見えないもの』など。
可逆性(reversibilite)
手袋を裏返すと、指先の何もなかった空間に裏返された手袋が存在する。つまり手袋の意味は、手袋の表裏が密着した折り返し点に生成している。あらゆる物事は、内と外が接し織りなす、リヴァーシブルな「襞」にしか存在しないのだ――。これがメルロ=ポンティの「可逆性」である。意識でも物体でもない存在として人間をとらえる「両義性」の思考を、両者の相互交流という視点から深めることで到達したこの考え方により、存在論のあらたな地平は切り拓かれた。そして哲学的反省は閉じた系として完結することを禁じられ、現象学のアクチュアリティは無限に拡大する。
鷲田 清一[ワシダ キヨカズ]
著・文・その他
内容説明
手袋を裏返すと、指先の何もなかった空間に裏返された手袋が存在する。つまり手袋の意味は、手袋の表裏が密着した折り返し点に生成している。あらゆる物事は、内と外が接し織りなす、リヴァーシブルな「襞」にしか存在しないのだ―。これがメルロ=ポンティの「可逆性」である。意識でも物体でもない存在として人間をとらえる「両義性」の思考を、両者の相互交流という視点から深めることで到達したこの考え方により、存在論のあらたな地平は切り拓かれた。そして哲学的反省は閉じた系として完結することを禁じられ、現象学のアクチュアリティは無限に拡大する。
目次
プロローグ 現象学の地平へ
第1章 構造―「行動」の研究
第2章 運動―「身体」の現象学
第3章 スティル―「変換」の現象学
第4章 偏差―「隔たり」の現象学
第5章 可逆性―「肉」の存在論
エピローグ 現象学の臨界点
著者等紹介
鷲田清一[ワシダキヨカズ]
1949年生まれ。京都大学大学院博士課程修了。現在、大阪大学教授。専攻は臨床哲学
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