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デリダ―脱構築

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  • サイズ B6判/ページ数 329p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062743549
  • NDC分類 135.5
  • Cコード C0310

内容説明

形而上学や伝統が、内部/外部、自己/他者、真理/虚偽、善/悪、自然/技術、男/女、西洋/非西洋などと階層秩序的二項対立を立て、支配的な項の純粋現前を追求することには、そうした思考ではとらえられない「他者」を排除する欲望が潜んでおり、脱構築的思考はその欲望を暴き出そうとする。しかし脱構築とは否定に終始するニヒリズムではなく、他者を他者として受け入れ、その呼びかけに応え、決して現前しない「正義」の到来を志向する。それは哲学、芸術から政治、倫理、法、宗教などあらゆる営為をとらえ直す、ラディカルな「肯定」の運動である。

目次

第1章 砂漠のなかの砂漠
第2章 形而上学とは何か
第3章 言語・暴力・反復
第4章 法・暴力・正義
第5章 メシア的なものと責任の思考

著者等紹介

高橋哲哉[タカハシテツヤ]
1956年生まれ。東京大学教養学部教養学科フランス科卒。同大学院哲学専攻博士課程単位取得。専攻は哲学。現在、東京大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

17
デリダはプラトンのパルマケイアーにおいて音声言語と文字言語の二項対立を崩壊させる脱構築の手法を確立させたのかと思う。音声言語と文字言語の対立について、エクリチュールは反復可能性のマークであり、エクリチュールの起源と現在を繋ぐ署名もまた偽造可能性を持つがゆえに他者の承認を呼び求め、エクリチュール、署名は差異を持ちながら反復される。デリダの哲学が倫理的だと言われる理由がかなり気持ち良くわかった。でも日本語が変で困る。意味のない指示語が連発され、主語が消えてねじれる。内容は素晴らしいがなんかかゆくなる一冊。2014/12/23

ともすけ

10
デリダの入門書として読んで約20年が経つが、未だにデリダの望むような世界は来ていない。この本は脱構築について特に焦点が絞られているので脱構築の概念を掴むのに非常に役立つだろう。それを知るために必要なデリダの思考をトレースすることによりデリダ自身の立場やその独特の思考形態からなにゆえ脱構築が正義と繋がるのかを知ることができる。といっても脱構築の理解はデリダそのものに当たらなくてはなるまい。名づけという暴力、道徳という暴力が生まれる前の原暴力としての固有名の問題。約300ページにまとめた高橋哲哉の佳作。2016/04/06

western

8
プラトン以来の「現前の形而上学」は、内部/外部、自己/他者、同一/差異、パロール/エクリチュールといった階層秩序的二項対立を設定した上で、優位項(前者)の純粋現前と劣位項(後者)の排除・無化を欲望し、具体的にはロゴス中心主義、音声中心主義、存在-神-目的論といった諸性格を持つが、それに対する脱構築的言説は、劣位のエクリチュールがじつは優位のパロールの可能性の条件に関わっていること、従って両者の境界線の本質的に決定不可能であることを暴露し、既成の価値秩序とは別に〈他者との関係〉の可能性を開こうとする。→2018/11/27

白義

6
前回読んだ時の記憶からデリダの倫理的側面中心かと思ったが、読み直せばそれを基軸にしたデリダ思想全体への素晴らしい導入だった 特に第二章、デリダとプラトンにふれたところは秀逸 初期デリダの思想的ポイントからその時まで常に、すでに内側にあった倫理的問題意識まで一掴みできる 他者の経験というアポリアから他者の声を聞くことは、私はやや批判的だが高橋哲哉の著作全体にも共通するテーマであり高橋本としても最高峰の一冊 これを熟読すれば脱構築の思想を学生のニヒリズム、戯れの思想と読むおっちょこちょいはいなくなるだろう2010/12/18

あなた

4
高橋哲哉がまだぎりぎり「いきいきと」しはじめる以前の話。いま読むとああ、デリダって刷新されつづけることにこそ意味があるし、そういう仕掛けこそがデリダの本分なんだと思う。まあ、亡霊でいつづけることというか。高橋は亡霊で生き続けることにがまんできずに、亡霊を政治的にあつかおうと靖国神社につっぱしり、安易な他者論に逃げていってしまった。それにしても、デリダがサッカー選手めざしてたエピソードは、いいよね2009/07/19

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