出版社内容情報
池波 正太郎[イケナミ ショウタロウ]
著・文・その他
内容説明
品川台町に住む鍼医師・藤枝梅安。表の顔は名医だが、その実、金次第で「世の中に生かしておいては、ためにならぬやつ」を闇から闇へ葬る仕掛人であった。冷酷な仕掛人でありながらも、人間味溢れる梅安と相棒の彦次郎の活躍を痛快に描く。「鬼平犯科帳」「剣客商売」と並び称される傑作シリーズ第一弾。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
185
鬼平を何度目かの再読をしたので、次は仕掛人シリーズの7冊の本を棚から取り出してきました。何度目かの再読です。いつも楽しませてくれます。この主人公は容貌魁偉で巨躯ながら、結構身軽であっさりと仕事を行います。この中には5つの話があり工夫されていて飽きが来ません。2017/07/05
hiace9000
123
【池波先生 生誕100年】に便乗。未完の大作にして池波3大シリーズのひとつである『仕掛人・梅安』、実は池波作品初読み。今村翔吾さんの池波好きとリスペクトは有名だが、本作読了し、その影響がいかに大なるかを実感。言葉、ルビのみならず、文体の生むリズム感までもが、「似ている」のだ。人の中の悪と善、おかしさや哀しさ、それら人間味を"時代"という舞台で存分に描き出す筆。小料理や手料理に季節感を持たせ、味や香まで読み手の舌に再現させる心憎い演出…これもまた。歴史時代小説を読まなかった、かつての自分に言いたい。読め!2023/02/07
KAZOO
96
池波さんの鬼平犯科帳、剣客商売に引き続いて何度目かの再読です。5つの短編が収められていていつもながらに楽しめます。最初は「おんなごろし」とあるように女を殺しますが、これが昔分かれた自分の妹であったということもわかります。非情だけれど世の中にあっては悪をまき散らす人物を金で殺すことを請け負うということで、彦次郎という相方とともに活躍し始めます。また7冊のシリーズを楽しみ始めました。2023/11/17
mike
88
仕掛人・藤枝梅安。本業は鍼医者。大きな躰に坊主頭。大きく張り出した額の下に窪んでいるどんぐりのような小さな目は開いているか閉じているのか分からない。イケメンではないが女の扱いは上手いような印象を受けた。彼は「生かしておくと世の為にならない者」を鍼を使って一瞬で始末する。彼には彦次郎という相棒がいて、こちらは楊枝作りを生業とする。本作は彼等の活躍を描く5つの短編集である。作中にあった「恩は他人に着せるものでなく自分が着るものだ」に深く首肯。映画化されているので是非観てみたい。2023/05/29
ばりぼー
66
読んでいる間、頭の中で必殺仕掛人のテーマソング「荒野の果て」が、ずっと鳴り響いていました。駿河の国・藤枝出身の鍼師梅安は、TVでは緒形拳が演じてましたが、原作ではいかつい大男に描かれているので、どちらかというと必殺シリーズ2作目「必殺仕置人」の念仏の鉄・山崎努の方がイメージに近いかも知れません。時代の雰囲気を醸し出す、抑制のきいたべたつかない文体が実に読みやすく、一気に読了。今までは、現代語がとびかう会話文の不自然さが気になり、時代小説を敬遠してましたが、スッと作品世界に入り込めました。癖になるかも…。2015/05/28