目次
序章 その死から
第1章 高等師範学校生・フーコー
第2章 北の街へ―フーコーの「さすらい」
第3章 『狂気の歴史』―精神医学の考古学
第4章 「人間」概念の解体―人間科学の考古学に向けて
第5章 政治の渦のなかへ―チュニスからヴァンセンヌへ
第6章 「管理」のまなざし―『監視と処罰‐監獄の誕生』とその背景
第7章 「性」と「権力」の迷路―フーコーの最後の苦闘
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サイバーパンツ
14
フーコーの生涯と共に、彼の思想の変遷を辿っていくフーコー冒険の書。難解な専門用語を極力抑えた平易な文章で書かれており、また同時にフーコーの生涯の物語を読んでいくため、非常に分かりやすい上に、読み物としても面白い。これを読めば、深いところまでは理解できずとも、フーコーの思想はだいたい押さえられる。難解なフーコーの著作に挑む前の入門書におすすめ。2016/05/30
またの名
12
「フーコーの著作を崇めたてまつって、なにかよくわからない用語を使った意味不明の論文をみかけるたびにうんざりしていた」と述べる著者は伝記的アプローチから稀代の思想家に、迫る。知人が発表した小説で赤裸々に描かれるエイズ患者キャラが明らかにフーコーっぽいとか、母国に疲れて米西海岸のゲイカルチャーにハマり「高級おフランス料理よりコーラとクラブサンドで十分」と言ったとか逸話は尽きない。本の中では徹底して理論的に語り動機や意図の存在を否定するかのように見えても、本の外では明確に実存の悩みと著述の狙いを持っていた人物。2019/08/27
masabi
12
再読。線を引き疑問なり意見なりを書き込む読書法にしたので、前回よりは内容を理解できたのではないか。人間の主体性という幻想を砕き、規則や無意識的構造に知や人間のあり方が制約を受けるとする。正常と異常を分ける時代にある筆者の自身の特異性や窮屈な学校生活の体験が影響している。高等師範学校やコレージュドフランスなどフランスの学校制度についてももっと詳しく知りたい。2015/06/04
ジュン
10
ラピュタ語を読むことができたムスカな気分になれた。「私にもフーコーが読める!読めるぞ!」 哲学書を辞書やノートなしで読んだのは初めて。とてもロジックを追いやすい良著だ。 "真理とは今もっとも新しい誤解である。"かっこいい。好きな人にドヤ顔で言ってみたい。2016/02/07
鬼束
5
フーコーの伝記的な流れに沿って、彼の著作の解説を試みた本。日本語も簡潔でわかりやすく、彼の生涯と重ね合わせながら著作を読み解いて行くことで、概説書につきものである、単調さ、退屈さといったものを感じることなくすらすらと読み進めることができた。なかなか言葉と物のような、フーコー自身も退屈と認めているような大著に挑む勇気はまだないが、やはり彼の著作を読んでみたいという気を駆り立てられた。2013/10/31