内容説明
なぜ人類は真に人間的な状態に歩みゆく代わりに一種の新しい野蛮状態に落ちこんでゆくのか―付・主要著作ダイジェスト キーワード解説 略年譜 読書案内。
目次
プロローグ 肯定的なアドルノを求めて
第１章 音楽の揺りかご
第２章 星々の友情
第３章 否定弁証法のオリジン
第４章 亡命のオデュッセウス
第５章 理性の原史をたずねて―『啓蒙の弁証法』の射程
第６章 新たな「唯物論」へ―『否定弁証法』と「客観の優位」
第７章 『美の理論』の告げるもの
エピローグ パウル・ツェランとアドルノ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
10
後悔の念をのちに述べているとはいえ、反ナチ反ファシズムの代表的思想家と考えられているくせにナチ詩人を賞賛していたとのラクー・ラバルトの告発は、強烈。些細なレトリックを駆使して第三帝国期を生き延びようとした本人曰く「愚かしい戦術」や、難解とされる普段のアドルノの文体に特徴的な接続詞がないエッセイ形式の理念と効果を解きほぐす巧みな説明に、詩人としての言葉に対する鋭さが見える。ヘーゲル由来の限定的否定なども他書より明快に解説されてる本書と同じくらいリーダブルな解説は、あとはレイェン（未邦訳）くらいしか知らない。2016/11/24
瀬希瑞 世季子
2
自律的な芸術と大衆芸術は資本主義の下で同等の傷を負っており、その変革の可能性も同等であるなら、ベンヤミンは大衆芸術に焦点を当てたのに対し、アドルノはそのアンチテーゼとして自律的な芸術に焦点を当てた。二つの芸術は"引き裂かれた半身"だが両者を組み合わせることはロマン主義としてアドルノは斥けている。2024/04/17
sk
1
なんとなくまどろっこしかった。2012/10/08
鳥
0
非同一性という概念を知った。2014/11/06
☆☆☆☆☆☆☆
0
付け焼刃的に。啓蒙的主体概念を仮想敵にするなら、アドルノもきっちり読まなきゃだめっぽいなぁ。著者のアドルノ愛が伝わる一冊でした。2012/11/01
