内容説明
本書は、ハイデガーからいくらか距離を保ちながら彼を理解しようとする、筆者なりの試みである。力点を置いたのは、比較的初期の、まだほとんど無名でいながら、すでに後年の思想の展開の多くを内に準備していたハイデガーである。
目次
序章 ギリシャの旅
第1章 カトリックの庇護の中で
第2章 葛藤と模索
第3章 雌伏の時代
第4章 『存在と時間』
第5章 ナチズムへの加担と後年の思索
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shin
9
『存在と時間』がその第一部として含まれるはずだった未刊の著作の全体像を示し、刊行されている『存在と時間』がハイデガーの哲学体系の中で占める位置とその意味を再解釈する構成は読み応えがある。これにより、カトリシズムの影響と決別に至る前半生に軸足を置いた伝記パートも活きている。ときに「死の哲学」とも言われるハイデガーの思想は、存在論としての凄味は感じるのだけれど、いまいち腑に落ちないのはなぜだろう。表現が難解で理解が追いつかない、というのとは別の次元で自分の世界観とはそもそもの形が合わない気がして仕方がない。2012/08/18
Stonewell
1
ハイデガーの特に前半生について、カトリックとの決別の顛末など、これまでよく知らなかった事柄が多く書かれてあって勉強になった。若き日のハイデガーについて読むことで、ハイデガーそのひとのみならず、古典のテクストを勉強する動機付けとなった。また、本書の中盤には、「存在と時間」のわかりやすい概説があるので、これから「存在と時間」を読もうとするひとにも有益2016/02/06
代理
1
最初と最後がつながってるのがハイデガーチック。若きハイデガーがニーチェを嫌ってたのは知らなかった。伝記的な面白さも十分だが、『存在と時間』の解説も非常に丁寧でわかりやすい。2012/10/28
sk
0
読みやすかった2010/02/02
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