内容説明
近代の悪夢を予兆する異化と夢幻の作品世界を、記号論の方法で精緻に読み解く。付・略年譜、主要著作ダイジェスト他。
目次
序章 空白としての中心
第1章 現象するピュシス
第2章 息子たち
第3章 小動物
第4章 肉食と音楽
第5章 報告書
第6章 法と掟のはざまで
第7章 測量する言語
終章 死後のカフカ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shin
9
カフカの小説はあまり読んだことがないんだけど、彼の描くモティーフにまとわりつくのは常に「不安」だ。近代から現代へのとば口における不安、二重帝国に暮らすユダヤ人としての不安、そして人間そのものとしての不安。マージナルな不安は、確固たる基盤と信じている言葉や身体をすら転覆させ、存在の痛ましい矛盾を露出させる。カフカが提示する寓意を、私のような平凡な読者は懸命に「解釈」するしかないのだけれど、そのことと、カフカの「感じて」いたものを共有することとは懸絶している。そこにテクストの絶望を見るのか、希望を見るのか。2012/06/24
よだみな
0
記号としての肉屋が発見でした。やっぱりいろいろでてくるなあ2023/07/16