内容説明
家康の秘命をうけ、徳川三代将軍の座をかけて争う、甲賀・伊賀の精鋭忍者各十名。官能の極致で男を殺す忍者あり、美肉で男をからめとる吸血くの一あり。四百年の禁制を解き放たれた甲賀・伊賀の忍者が死を賭し、秘術の限りを尽し、戦慄の死闘をくり展げる艶なる地獄相。恐るべし風太郎忍法、空前絶後の面白さ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
utinopoti27
127
本作は、言わずと知れた『バジリスク』の原作。設定は、徳川家の跡目を決するための代理戦争として、甲賀と伊賀それぞれ十人づつの忍者が相まみえるというもの。凄絶な忍法合戦もさることながら、弦之介と朧の悲恋の行方も気になるところ。それにしても登場する忍者たちの、奇想天外な忍術は圧巻の一言。本来は地道な情報収集を専らとする忍者を、ミステリアスなヒーローとして世界に名を知らしめた功績も見逃せません。スリル溢れる戦闘シーン、滅びのカタルシス等々、半世紀以上経った現在においても、色あせることのない不滅の名作でした。2018/12/26
海猫
125
いまさらこういうことを言うのもなんだが凄い傑作。一冊に積み込まれたアイデア、展開のスピード感など見事であるし、60年以上前に書かれた作品なのにまったく古びていずむしろ新しい。さらに無駄がなく流麗な文章が美しい。2013/07/16
柊龍司@中四国読メの会&読メ旅&読食コミュ参加中
85
『バジリスク』を読んで原作本にも興味があったのですが、ついに山田風太郎の忍法帖シリーズに手を出し始めてしましました。こうやって読むと漫画は過不足なく描かれていて、小説のコミカライズとしては素晴らしいとしかいいようがないですね。漫画で読んでいたので、驚きとかは無いけど、今後読んでいない忍法帖シリーズを続けて読む気にさせるには充分すぎるほど面白い作品でした。先は長いので楽しみですね。2013/06/08
bookkeeper
68
★★★★★ 再読。超人的な能力者達が相見えるという一大ジャンルを築いた嚆矢にして代表作。徳川家の跡目を決定するため、伊賀・甲賀の忍者10名ずつが殺し合う。反目してきた両勢力の和睦を願う恋人達2名もその中に含まれていたのだった。 多彩な能力と予想外の勝敗を生み出す奔放な創造力に圧倒される。中には「コイツ強いのか?」と思わせる変な能力もあるのだけれど(笑)。描写も分かりやすくとても読みやすい。イッキ読み必至でおすすめ。沢山のシリーズがあるが、迷ったらまずはこれ! 「ふびんや、しょせん、星が違ごうた!」2018/11/14
goro@80.7
66
風太郎御大の忍法帖ロミオとジュリエット。家康の思惑により命じられ死闘を繰り広げる甲賀と伊賀の恐るべき忍者たち。奇想天外とは風太郎のためにある言葉だ。考えつかない忍法の数々は今読んでも色褪せない面白さ!屍の上の悲恋が涙をそそる。さすがの山田風太郎、物語はこうでなくちゃね!2017/08/27