出版社内容情報
東野 圭吾[ヒガシノ ケイゴ]
著・文・その他
内容説明
奪取された超大型特殊ヘリコプターには爆薬が満載されていた。無人操縦でホバリングしているのは、稼働中の原子力発電所の真上。日本国民すべてを人質にしたテロリストの脅迫に対し、政府が下した非情の決断とは。そしてヘリの燃料が尽きるとき…。驚愕のクライシス、圧倒的な緊迫感で魅了する傑作サスペンス。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
845
原発(高速増殖炉)と最新鋭のヘリコプターを駆使した、他の作家には書けそうもないミステリー。さすがは電気工学系出身の東野圭吾と思わせる作品。その設定と構成の緻密さは、これまでに読んだ東野作品中では最高である。物語の持つ哀切さという点でこそ『白夜行』に譲るが、作品の出来そのものは本作が頂点に立つだろう。わずか半日に凝縮された緊迫したドラマ性は他に類を見ない。私は嫌いではないが、読者によっては、三島に共感を持ちにくいことが、あるいは欠点と意識されるかもしれない。雑賀のスーパー技術者ぶりにも無理もあるだろう。⇒2021/11/21
Tetchy
794
映像化作品が多い東野作品の作品の中でも抜群のサスペンスを誇る作品だがなぜ映像化されないのか、その理由が本書を読んで判ったような気がした。この作品は3.11以前に読むのと以後とでは全く読後感は違ったものになっただろう。なんともタイムリーすぎて背筋に寒気を覚えた(ちなみに10/22に私は渋谷で原発反対のデモ行進を目の当たりにした)。放射能物質拡散の脅威と反原発運動、そして放射能汚染の恐怖などの事態、原発に関する知識をさらに深く得るためにも、そしてその存在意義を考えるためにも今この書を読むことをお勧めする。2011/10/30
ミカママ
681
正直、ヘリや原発の仕組みのあたりでは、何度もギブしそうになったんだど、読み友Mちゃんが映画にエラく感動したというメッセをくれてたので、意地で読了。いやー、ものすごいスケールの大きなお話で。映画でもおそらく同じだったであろう、山場がいくつもあって。さすがエンジニア出身の作家さんだわね。何よりすごいのは、この作品が20年前の刊行だったということ。この作品を「警笛」と捉えた日本人は、当時いたのだろうか。2015/12/25
Kircheis
663
★★★☆☆ クライシス・サスペンス物。 豪華キャストで映画化したらかなりおもしろくなりそう! と思ってたら、まさか20年越しで実現するとは…当然想像してたキャストとは全く違いましたが(笑) 小説としてはやや冗長な部分もあったけど、最終的にはうまくまとめてたと思う。 だけど、日本の警察・自衛隊の力なら 1、ファックスがどこから送られたか探知できる。 2、シャーペンで書いた名前を消しても復元できる。 3、ヘリを爆撃して日本海側に落とせる。 と思ったんだけどいかがでしょうか?2019/03/14
ehirano1
572
物事の二面性を『原発』の是非に係る人達に置いた上で、サスペンスをぶち込んでくる著者には感服します。良くも悪くも原発から生じるエネルギーの利便性を手放すことが困難な我々には、もはや「技術」で「安全」を作っていくしかないのかもしれません。2021/12/06