講談社文庫<br> 朝の歓び〈下〉

講談社文庫
朝の歓び〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 376p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062634786
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

地球に朝と夜があるように、私たち人間にも朝と夜がある―。ローマで婚約者に置き去りにされたさつきは言った。ゴルフを愛する大垣老人、愛人が妊娠した内海、亡き妻に似てきた娘と登校拒否の息子、そして良介と日出子…。すべての人が生きている。人間にとって何が幸福かを問う、宮本輝の傑作ロマン。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mariya926

107
この本で得たのは「明るく振る舞うっていうのは、実に大切なことだって。それは不幸を幸福に変えるひとつの極意だって」という言葉です。イタリア旅行をしていたはずなのに、下巻からは突然日本での生活が出てきます。息子が高校を辞めようとしている問題や、愛人の問題、それにゴルフ仲間の大垣老人からの手紙など色々なことを時が解決していくことを見ることができます。生きている時が朝で、死んだ時が夜。そのような見方をすることもできるのですね。宮本輝さんの作品は、主人公が色々な経験や旅で悟りを得て成長していく姿を見させてくれます。2019/03/11

chikara

34
私の座右の銘は正にこの作品から。『明るく振る舞えて、感謝する心を忘れない人間は、きっと勝つだろうな。 いっとき、地獄でのたうつような事態が生じても、その地獄のなかで勝つ。そんな気がするよ。』 簡単な言葉の中に真実は宿っていると思う。実行し続けて参ります。2019/06/17

June

34
下巻冒頭の二人の男に不倫相手がいて、それを二人で語るあたりは不快感を覚えた。良介はイタリア旅行の後、日出子と別れ、亡き妻を懐かしみ、やはり一番妻がいいと思うシーンにそういうものかと思ったりした。けれど結局日出子とよりを戻すのだが、日出子に惹かれる気持ちも理解できる。ゴルフを通じて知り合った老人の過去が手紙を通して語られ、冒頭の不倫をした男たちの会話は布石だったのかと思う。二十代で一度読んだことがあり、到底理解出来ない内容だったと思い、時を経て再読できたことに少し運命も感じる。2014/04/27

エドワード

23
舞台となるポジターノという街。海辺のリゾート地だ。すぐそばがアマルフィで、スカヨハや織田裕二の映画で見た美しい坂道が目に浮かぶ。宮本輝さんの小説で、どれだけ旅を楽しませてもらったことだろう。今回も「悪い過去は消えるんだ。」「人間の行動において<徒労>というものは、ひとつもないのではないか。」などの言葉が人生を明るくしてくれる。<人に歴史あり。>の大垣老人の若き日の修羅場にはぶっとんだ。さつきチャンが案外おとなしくてちょっと残念。良介の再出発、父と兄の和解と、幸せの予感に包まれる終幕。2014/02/08

シュラフ

17
宮本輝の本領が発揮された小説だ。青春に生き迷う息子とそれを見守る父、妻を喪った男と男の昔の恋人である女、ゴルフを通じて知り合った老人の過去と今、愛人を妊娠させてしまった親友の苦悩、など登場人物らの心の問題が実によく描かれている。ところで妻の死による保険金はいったいいくらだったのだろうか。主人公が会社を辞めて、子供二人の学費もまかなうことができるくらいというから少なくとも三千万はあるのだろう。それにしても妻の保険金で昔の恋人と海外旅行に行くという設定が後味が悪い。いっそ宝くじに当たったというほうが良かった。2014/04/08

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