講談社文庫
オレンジの壺〈下〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 278p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062633673
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

パリからアスワンへ飛び、祖父の日記帳に隠された真実を知った佐和子。25歳の普通の女性は、まったく無縁のはずだった過去の戦争にかかわりあったことで、多くの豊かさを身についていった。ひたむきに自分にできることをやりとげた彼女がラストシーンで掴んだものは!?幸福そして人生を問う宮本文学の傑作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

chikara

71
再読。戦後70年。読む時期で感じ方は大きく変わります。 瞬間の心の力は獰猛である。『誰もが、死や不幸を望んではいないのに、戦争への行進が始まるのはなぜだろう。それもまた、瞬間の心の獰猛さの成せる業なのだろうか。』・『<やさしさ>というものが、かつて人間の哲学に組み入れられたことがあっただろうか。』 心に響く言葉達の前に私の感想は無力となる。また再読しよう。2015/08/25

ペルー

43
【再読】おお、こんな話だったっけ、とあっけなく読む。結末を迎えても未だ謎は残る。主人公のお嬢様ぶりも羨ましい限り(笑) 以前読んだ時は、確か手に汗握ると言う感じで読んだが、今回はもっと落ち着いた気持ちで読んだ。内容はすっぱり忘れていたので、初読と同じ感覚と思うが、年をとったってことかな?(笑)2018/03/17

wanichan

41
祖父の日記が進むと同時に、謎が解決するものと思った私は浅はかでした。生きているこの世の中でも、すべての謎はとけきれていない。解けてすっきりするのはミステリー小説とドラマだけ。フィクションだが、世界が戦争に向かって、少しずつ動いている時代を垣間見れたようでした。2014/11/12

いっぺ

26
素敵な読後感です。宮本輝さんの本、十何年振りかに読んで良かったです。おすすめしてくださったどなたかのレビューに感謝です。あとがきに「はからずも、自分とはまったく無縁のはずであった過去の戦争のなかに心を踏み入れてしまった一人の女性が、大戦前に生きた幾多の人々の軌跡を追うことで、女性としての多くの豊かさを身につけていく物語」とあります。最後に自ら終止符を打つ佐和子さんの潔さに、そしてほのかにのぞく明るい未来に、清々しさを感じました。2015/10/23

まーみーよー

21
舞台はパリからアスワンへ。謎は解けるようで解けず、曖昧な結末ではある。しかし、現実の社会では過去の謎が白黒はっきりすることなどない。その点においても本作品が謎自体が主題ではなく、謎に対峙した主人公佐和子の心の動きや変化を主人公とともに追体験させることをメインとしている点が良かったりする。祖父の日記に触れることで佐和子の今後の人生がガラッと劇的に変わるわけではないが、水の波紋のようにじわっと浸透していくような体験なのかもしれない。2022/08/29

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/557305
  • ご注意事項