内容説明
同級生の宮前由紀子は俺の子を身ごもったまま、そして俺の愛が本物だったと信じたまま事故死した。俺にできる償いは本気の関係だったと皆に告白することと事故の真相を暴くことだけだった。やがてある女教師が関わっていたことを突き止めるが、彼女の絞殺体が発見されるや、一転俺は容疑者にされてしまう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
329
東野圭吾が久々に学生、しかも高校生を主人公にして書いたミステリ。しかし毎回思うがこの作者の筆致の淀みの無さはいったい何なんだろう?巧みに物語に謎を溶け込ませ、読者に推理を容易にさせない。推理するためにページを繰る手を止めるよりもストーリーが気になって先に進めることを選択せざるを得ない。そして最後の一行のカッコ良さ。青臭さを感じる生意気な高校球児である主人公西原荘一のお株をグンと挙げるキメ台詞だ。成熟の域に達した東野が久々に放った青春学園ミステリは、やはり上手さの光る逸品であった。2010/09/02
Kircheis
313
★★★★☆ 学園物でデビューした作者の原点回帰的な作品。 本作も東野圭吾らしい良作でした(〃ω〃) 主人公の西原壮一が常に事故死した宮前由希子の本当の彼氏だった事を演じるのに不自然さを感じ、作者お得意の叙述トリックで犯人は壮一!ていうのを想像してたら全然違うやん∑(゚Д゚) 大人も子供も可哀想な話だけどラストは爽やかだ。2019/03/12
takaC
243
トリックは奇抜だが推理は難しくない。動機というか背景の感情は推理困難。2003/01/01
夢追人009
217
東野圭吾さんの通算23冊目となる学園ミステリーの異色作です。うーん、本書は今までの作品とかなり肌触りの違う問題作ですね。私は著者のあとがきを先に読んだのですが、読了後の感想は東野さんが学生時代の教師嫌いの思いを元に作品を組み立てて過酷な状況を設定しながらストーリーを完成させたのだと感じましたね。ミステリーとしては意外性が十分で最後まで楽しめましたが、私は何となく著者が辛さを感じながら書かれたようだなと推測しますね。悲運の由希子が誠に可哀相ですし私は西原に緋絽子と結ばれてもいいのだよと言ってあげたいですね。2020/01/02
ハイク
201
「放課後」に続く学園ミステリーで著者の初期作品である。主人公は高校3年生の西原荘一で、野球部のキャプテン。「放課後」と違って事件の真相を探る刑事並みの動きをする。同時に女学生に持てる青春小説の要素も加味しており、気軽に読める本である。ある殺人事件で学校内に刑事が調べにくる。西村も真相を突き止める為に独自に調べる。刑事も本人に何度も事情聴取するが、彼の鋭い洞察力に舌をまく。刑事の方から少しづつ真相を明かす。この辺は現実と少し掛け離れていると思う。後半には産業界の水質汚染を絡めた社会的事件との関連もしている。2015/10/23