講談社選書メチエ<br> 絶滅の地球誌

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講談社選書メチエ
絶滅の地球誌

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  • サイズ B6判/ページ数 368p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062586412
  • NDC分類 462
  • Cコード C0340

出版社内容情報

この地球は今、絶滅の危機に瀕している。──その現実を直視するために〈種の消滅〉と〈核開発〉をつなぐ線を浮かび上がらせる。この地球は、今まさに絶滅の危機に瀕している──。
本書は、この紛れもない事実を直視し、人類の未来を思考しようとするものである。
地球という星は、これまで五回にわたる「大絶滅」を経験してきた。そして、多くの専門家たちが警鐘を鳴らしている。現在、地球は六度目の「大絶滅」に突入しつつある、と。ある研究者によれば、毎年5万種の生物が地球上から姿を消している、そんな前代未聞の事態が今まさに進行している。
その原因は何か?
この問いに答えるために、著者は一見すると無関係な主題に向かっていく。それが「核開発」である。兵器としてのみならず発電のためにも使われる技術を、人間はいかにして生み出し、その現状はどうなっているのか。それを追求していくとき、「ニュー・パンゲア(超大陸)」と呼ばれる状態になった現代世界の姿に突きあたり、まさにその状態こそが「大絶滅」をももたらしているのではないか、という疑念がもたらされる。
では、どうすればよいのか? もしも処方箋を求めるなら、われわれは究極の問いに取り組まなければならないだろう。──「人間は人間自身を選別することができるのか? 生きてよい人間と生きなくてよい人間の分断線を引くことが人間にはできるのか?」
もちろん、簡単には答えられない。ことによると、誰にも答えられない問いかもしれない。だからといって現状を黙認すれば、無数の生物が姿を消し、憎悪を抱えたテロリストが生み出され続ける。
だからこそ、現実を直視すること。そして、むやみに絶望するのではなく、ただ愚直に思考すること。
本書は、前代未聞のテーマに全身全霊を捧げて取り組んだ著者からの、希望に満ちた贈り物である。

序章 カエルがいない?
第I部 第六の絶滅
第一章 ニュー・パンゲア
 1 空飛ぶ哺乳類の受難
 2 カエルのいない世界
 3 二つの絶滅率
第二章 絶滅の考古学──キュヴィエの視線の先にあったもの
 1 ジョルジュ・キュヴィエ
 2 断層の向こう側
 3 古生物学の誕生
第三章 第六の絶滅──炭素の意味論
 1 温暖化か寒冷化か
 2 負のフィードバック
 3 正のフィードバック
第II部 第三の実験
第四章 プロメテウスの息子たち
 1 結 集
 2 ロスアラモス国立研究所
 3 人工楽園
第五章 核分裂と核融合
 1 2万トンの意味
 2 投 下
 3 爆 縮
第六章 レオ・シラードと最終兵器
 1 シラードという男
 2 光と放射能
 3 最終兵器
第七章 自然選択と破局の論理
 1 自然選択の世界
 2 ハエの論理学
 閑話休題──基準をかき回す
第III部 世界と未来の対角線
第八章 予測と変動
 1 預言者の不在──一例としての少子高齢化の行く末
 2 人口爆発をめぐるいくつかの推計
 3 二つの絶滅率について
第九章 人為選択の経験と可能性
 1 19世紀における人口爆発の危機
 2 人間による人間の選別は可能か?
第一〇章 自由市場とその継子──行為における「信」と「不信」の構造
 1 売買の憂鬱な機構
 2 カウントされる欲望とカウントされない欲望
 3 預言者の復権
 4 暴力の投射的生産のメカニズム
第一一章 核の宅配便──ドクター・カーンのふしぎな事業
 1 オランダのさまよえるパキスタン人
 2 カーン・ネットワークの興隆
 3 核不拡散システムの欺瞞と陥穽
 4 ネットワークの終わりと未来
 5 核拡散防止条約と非核三原則
終 章 ときを拓く試み
文献一覧


澤野 雅樹[サワノ マサキ]
著・文・その他

内容説明

金沢城のヒキガエルがいなくなり、パナマの黄金カエルも死に絶えた。毎年、五万の種が消滅する地球は、オルドビス紀、ペルム紀、三畳紀などの五度の大絶滅を超える「第六の絶滅」へと静かな行進を続けている。五大陸は、人類の欲望と技術によって、二億五千年の時を越えて、また一つになり、「ニュー・パンゲア(超大陸)」となったのである。この超大陸は環境破壊だけでなく、「核の宅配便」までも可能にした。人類は、どうすれば絶滅への歩みを止められるのだろうか?

目次

第1部 第六の絶滅(ニュー・パンゲア;絶滅の考古学―キュヴィエの視線の先にあったもの;第六の絶滅―炭素の意味論)
第2部 第三の実験(プロメテウスの息子たち;核分裂と核融合;レオ・シラードと最終兵器;自然選択と破局の論理)
第3部 世界と未来の対角線(予測と変動;人為選択の経験と可能性;自由市場とその継子―行為における「信」と「不信」の構造;核の宅配便―ドクター・カーンのふしぎな事業)

著者等紹介

澤野雅樹[サワノマサキ]
1960年、埼玉県生まれ。明治学院大学博士課程単位取得退学。現在、明治学院大学教授。専門は社会思想、犯罪社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nemunomori

7
6度目の絶滅が加速してゆく冷酷なデータ。もう人類は人類自身が手に負えない。シニカルな解説が読みにくいのは、恐ろしい現実と向き合えないからでしょうか。図書館でこの本に予約が殺到しているのが救いに思えました。2017/05/02

ニッシャ

6
人間の愚かさが分かる。星4つ⭐️⭐️⭐️⭐️2019/01/31

Mao

4
「大地は子孫が貸してくれたもの」であることを忘れてはならない。2017/02/26

kuppy

3
ホモサピエンスという種が絶滅を逃れるための警告書。19世紀に小氷河期を迎え産業革命を機に化石燃料を燃やし続けた人類は化学肥料の助けも借りて人口を増やし続けた。このままCO2が増え続ければ人類の危機は不可避であり、原子力発電の利用は3.11で見るように汚染の危機、廃棄の長期化を逃れられない。またMADにより核抑止力となるはずの核兵器はテロリスト(またはテロ国家)の手に渡ればどう使われるかわからない。恐竜は巨大隕石という不可抗力で滅んだが、人類は無策のせいで自滅するのか、知恵、国際協調など努力で回避できるのか2023/04/27

茶幸才斎

3
生態系の撹乱、温室効果ガスによる温暖化、人口爆発、不安定で刹那的な市場経済、核開発競争、大国のエゴが育んだ貧困国の核武装とテロリズムなど、人類を破滅に導く可能性のある諸要素について、歴史的経緯をたどり現状を批判的に分析しながら、人間の無思慮と蒙昧ぶりを冷徹に抉り出すとともに、読者を足元のふらつくカタストロフの淵に無理やり立たせて恐怖を煽るような不穏な意図を感じる本。かほどに散々にこちらの心胆を寒からしめておいて、最後に筆者の提案する一発逆転の破局回避策はロマンチックにも程があり、呆れるより先に頬が赤らむ。2018/04/16

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