講談社選書メチエ<br> 権力の空間/空間の権力―個人と国家の“あいだ”を設計せよ

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講談社選書メチエ
権力の空間/空間の権力―個人と国家の“あいだ”を設計せよ

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  • サイズ B6判/ページ数 264p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062586009
  • NDC分類 520.4
  • Cコード C0336

出版社内容情報

古代ギリシア都市に見られる領域「ノー・マンズ・ランド」とは何か? 世界的建築家がアレントとともに未来の都市を展望する。ハンナ・アレントは『人間の条件』の中で、古代ギリシアの都市に触れて「私的なるものと公的なるものとの間にある一種の無人地帯」という奇妙な表現を使っている。ここで言われる「無人地帯」とは「ノー・マンズ・ランド(no man’s land)」の訳語である。そして、このノー・マンズ・ランドこそ、都市に暮らす人間にとっては決定的に重要だ、とアレントは言う。
本書は、この表現に注目した世界的建築家が、アレントの主著を読み解きながら、現代の都市と人々の生活が抱える問題をあぶり出し、われわれが未来を生き抜くために必要な都市の姿を提示する書である。
ノー・マンズ・ランドとは、日本家屋で喩えるなら、空間的な広がりをもった「敷居」のようなものだと著者は言う。古代の都市では、異なる機能をもつ複数の部屋を隔てたり、家の内と外を隔てたり、私的な領域と公的な領域を隔てたりする「敷居」そのものが場所として成立していた。しかし、そのような場所は現代の都市からは完全に失われている。
それこそが人々の閉塞感を生み、人と人のつながりを破壊した原因であることに気づいた著者は、敢然と異議を唱える。その打開策として打ち出されるのが、インフラのレベルから構築される「地域社会圏」というヴィジョンである。そこでは、国家の官僚制的支配から自由になった人々が、それぞれの能力と条件に応じて協同し、住民の転入・転出があっても確固として存在し続ける都市が実現される。
誰も有効な処方箋を書けずにいる困難な日本で、幾多の都市にまなざしを向けてきた建築家が回答を示す必読の書。

はじめに
第一章 「閾(しきい)」という空間概念
 1 "no man's land"とは何か?
 2 ポリスの空間構造、そして「閾」という空間概念
 3 集落調査I──外面の現れ(appearance)
 4 集落調査II──「閾」のある家
第二章 労働者住宅
 1 アルバート館
 2 労働者住宅の実験──親密なるもの
 3 隔離される住宅
 4 共同体的居住システム
 5 "物化"という概念
第三章 「世界」という空間を餌食にする「社会」という空間
 1 労働は労苦なのか生きがいなのか
 2 仕事の世界性
 3 世界から社会へ
 4 鳥のように自由な労働者
 5 社会はどのように管理されるのか
第四章 標準化=官僚制的管理空間
 1 一円入札
 2 権力は下から来る
 3 官僚制的統治は空間的統治である
 4 標準的空間
 5 標準化という美学
 6 「1住宅=1家族」システム
 7 搾取されているのは労働力ではない
第五章 「選挙専制主義」に対する「地域ごとの権力」
 1 「性現象」のための住宅
 2 模範農場で卵を産む鶏
 3 世界を共有しているという感覚
 4 住民参加による建築の設計、そして反対派
 5 コミュニティという政治空間
 6 選挙専制主義に対する評議会という権力
 7 「地域社会圏」という考え方
あとがき


山本 理顕[ヤマモト リケン]
著・文・その他

内容説明

古代ギリシアの「ノー・マンズ・ランド」とは何か?ハンナ・アレントが重視したこの領域は、現代の都市から完全に失われた。世界的建築家がアレントの主著を読み解きながら、私たちが暮らす住居と都市が抱える問題を浮かび上がらせ、未来を生き抜くための都市の姿を展望する。幸せに生きるためには、「権力の空間」に抗い、私たち自身の「空間の権力」を意志しなければならない。

目次

第1章 「閾」という空間概念(“no man’s land”とは何か?;ポリスの空間構造、そして「閾」という空間概念 ほか)
第2章 労働者住宅(アルバート館;労働者住宅の実験―親密なるもの ほか)
第3章 「世界」という空間を餌食にする「社会」という空間(労働は労苦なのか生きがいなのか;仕事の世界性 ほか)
第4章 標準化=官僚制的管理空間(一円入札;権力は下から来る ほか)
第5章 「選挙専制主義」に対する「地域ごとの権力」(「性現象」のための住宅;模範農場で卵を生む鶏 ほか)

著者等紹介

山本理顕[ヤマモトリケン]
1945年生まれ。建築家。1971年東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修了。東京大学生産技術研究所原研究室研究生を経て、1973年一級建築士事務所山本理顕設計工場設立。2002‐07年工学院大学教授、2007‐11年横浜国立大学教授。代表作に、埼玉県立大学、公立はこだて未来大学、横須賀美術館、福生市役所など。天津、北京、ソウル、台北などでも公共建築、集合住宅を手掛ける。チューリッヒ国際空港複合施設は2018年完成予定(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かんがく

13
タイトルが魅力的過ぎて手に取ったが、内容も負けず劣らず魅力的であった。建築と都市というテーマに対して、アレント、マルクス、フーコーなどの思想を用いてアプローチしていくという、今私が一番関心を持っている内容かもしれない。公的領域と私的領域の間にある閾、居住空間であり商業空間である見世など、近代社会=市場経済とともに失われていった存在に再注目し、官僚的・一元的な労働者管理のための住宅からの脱却が提言されている。まちづくりについて考える際の視野が広がった。2022/07/11

koji

9
建築とは何か。著者は、Hアーレントの言葉を引用し、ギリシャにおけるポリス(公)と家(私)の関係に求めました。所謂「外面の現われ」です。そこでは建築は物化の中心にいました。しかし資本主義が進み労働者が現われ、労働者住宅という「社会」が現出すると、「ギリシャの世界」が解体されます。権力が入り込んできたのです。それ以後、建築は権力の従属物になりました。邑楽町の町庁舎コンペから理不尽に締め出された怒りが本書の契機ですが、昨今の新国立競技場建設を巡る動きの根本(著者の意見はネットで読めます)も分かる問題提起の書です2015/09/05

チャーリー

5
近代の機能主義が建築に「官僚」的に一義的な機能を規定したことにより、中間団体なしで個人は国家に直接的に結びつけられた。山本は古代ギリシャからさまざまな住居を参照することで現代において「私」と思われていた空間に「公」があったことを発見していく。指摘は非常に面白いが、一方で家父長制など家庭内のヒエラルキーや地域におけるムラ社会的な小さな目に見えにく権力構造に関しては言及が薄い。もっとも官僚制による大きな権力を指摘する上でその手の権力を指摘することは二義的な課題かもしれないが。2016/10/20

アメヲトコ

5
公と私をつなぐ「閾」の空間を失い、消費財に過ぎなくなってしまった現代住宅を批判し、地域社会圏の空間を提唱するもの。議論の枠組みがアレントに全面的に依拠しすぎなのが気になりますが、主張点には同意できます。もう少し自身の仕事や試みを前面に出して語った方がより面白くなったかも。2015/05/04

スズキパル

4
アレント読解を通じ、近代の建築家が社会に果たしてきた役割に対する批判が展開。かつて建築において公的領域と私的領域を隔てていた「閾」は、住民が公的な場に現れ、政治的自由を行使する基盤を形成していた。現代社会における「閾」が失われた家は、単なる住人のプライバシーを守るだけの「住宅」に改編され、住宅の外部に広がる空間は住人を相互に隔離する管理空間に変貌していると筆者は指摘。建築は本来、経済的利益のために組織された社会の要請(命令)に応え、その機能を満たす消費財以上の価値を持つことを示唆している。 2018/02/18

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