講談社選書メチエ<br> 「社会(コンヴィヴィアリテ)」のない国、日本―ドレフュス事件・大逆事件と荷風の悲嘆

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講談社選書メチエ
「社会(コンヴィヴィアリテ)」のない国、日本―ドレフュス事件・大逆事件と荷風の悲嘆

  • 菊谷 和宏【著】
  • 価格 ¥1,925(本体¥1,750)
  • 講談社(2015/03発売)
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  • サイズ B6判/ページ数 256p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062585989
  • NDC分類 235.068
  • Cコード C0336

出版社内容情報

20世紀初頭に日仏両国に勃発した二大冤罪事件。その比較を通して今も日本に潜む深刻な問題を明らかにし、打開への道筋を示す。本書は、国家による冤罪事件として知られるフランスのドレフュス事件(1894-1906年)と日本の大逆事件(1910年)を取り上げ、日仏両国の比較を通して、日本に見出される問題が今日もなお深刻なまま続いていることを明らかにする。
スパイの嫌疑を受けて終身刑に処せられたユダヤ系の陸軍大尉アルフレッド・ドレフュスは、軍部や右翼との闘いの末、最終的に無罪になった。その背景に作家エミール・ゾラをはじめとする知識人の擁護があったことはよく知られている。一方、天皇暗殺計画を理由に起訴された24名が死刑宣告を受けた大逆事件では、幸徳秋水をはじめとする12名が実際に処刑されるに至った。
二つの事件に強く反応した永井荷風は、ゾラと自分を比較し、自分の情けなさを痛感した、と告白している。そこで刻み込まれた悲嘆の深さは、荷風に戯作者として隠遁生活を送ることを余儀なくさせるほどだった。
ここに見られる違いは、どうして生まれたのか。本書は、両事件を詳しく分析することで、その理由が日本には「社会」がないという事実にあることを突きとめる。「日本」というのは国家の名称に尽きるものではない。国家が存在しなかったとしても、社会は存在しうる。そして、国家が個人に牙を剥いてきたとき、社会は個人を救う力をもっている。しかし、この国には、国家はあっても社会はない。それが、ドレフュスは無罪になったのに、幸徳らは見殺しにされた理由である。
今日も何ら変わっていないこの事実に抗い、「共に生きること(コンヴィヴィアリテ)」を実現するための処方箋を示す、日本の未来に向けられた希望の書。

はじめに──問題の設定と本書の構成
第一章 ドレフュス事件
 1 「事件」の事実経過
 2 エミール・ゾラ──人間の社会的生の事実を見据え国家の虚偽を暴く者
 3 エミール・デュルケーム──近代実証主義社会学の創始者
 4 国家の道具性と社会の人間性
第二章 永井荷風 I──生い立ち?渡米?渡仏
 1 洋行前
 2 アメリカ体験──事実としての普遍性への接近
 3 フランス体験──経験的普遍性の獲得
第三章 大逆事件
 1 「事件」の事実経過──幸徳秋水を中心に
 2 幸徳秋水──人間の社会的生の事実を見据え国家の虚偽を暴く者、再び
第四章 永井荷風 II──帰朝?大逆事件?太平洋戦争?敗戦
 1 帰朝後の永井荷風とその時代──『断腸亭日乗』より
 2 社会と人間──永井荷風の社会思想
結論──日本「社会」


菊谷 和宏[キクタニ カズヒロ]
著・文・その他

内容説明

国家による冤罪事件として知られるフランスのドレフュス事件と日本の大逆事件。スパイの嫌疑を受けたドレフュスは最終的に無罪になったが、日本では幸徳秋水ら一二名が処刑された。両国の違いは、どこにあるのか?答えは、日本には「国家」はあるが「社会」はないことにある。今日も何ら変わっていないこの事実に抗い、「共に生きること(コンヴィヴィアリテ)」を実現するには?日本の未来に向けられた希望の書!

目次

第1章 ドレフュス事件(「事件」の事実経過;エミール・ゾラ―人間の社会的生の真実を見据え国家の虚偽を暴く者;エミール・デュルケーム―近代実証主義社会学の創始者;国家の道具性と社会の人間性)
第2章 永井荷風1―生い立ち~渡米~渡仏(洋行前;アメリカ体験―真実としての普遍性への接近;フランス体験―経験的普遍性の獲得:人間的生の現実、美、社会)
第3章 大逆事件(「事件」の事実経過―幸徳秋水を中心に;幸徳秋水―人間の社会的生の事実を見据え国家の虚偽を暴く者)
第4章 永井荷風2―帰朝~大逆事件~太平洋戦争~敗戦(帰朝後の永井荷風とその時代―『断腸亭日乗』より;社会と人間―永井荷風の社会思想)
結論 日本「社会」(荷風の恥辱;国家、共同体、社会;日本国と日本社会;日本社会の不在;総括―日本社会の創造)

著者等紹介

菊谷和宏[キクタニカズヒロ]
1969年生まれ。一橋大学社会学部卒業、同大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)DEA課程、パリ第七大学招聘研究員、ユーロメッド・マルセイユ(現ケッジ・ビジネススクール)客員研究員等を経て、和歌山大学経済学部教授。日仏社会学会常務理事。専攻は、社会思想史、社会哲学。主な著書に、『トクヴィルとデュルケーム―社会学的人間観と生の意味』(東信堂、日本社会学史学会奨励賞受賞)、など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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壱萬弐仟縁

30
コンヴィヴィアリテとは共生だが、日本語なら社会(性、17頁)。デュルケームの実証主義的社会学:ゾラの自然主義文学の社会科学版(56頁)。国家権力にとって人間社会は必要ない。理念的にない方が好都合。人権を破壊、無視するのが通常、本質。国家と社会は対立する(66頁)。社会制度はあくまで生のための道具(74頁)。永井荷風にとっての芸術は、人の生きる様そのもの。人が人として生きることが生きた悲しい詩(105頁)。国家は制度であり組織(119頁)。2015/06/18

SOHSA

24
《図書館本》プルースト『失われた時を求めて』に繰り返し取り上げられるドレフュス事件について掘り下げたいことが本書に惹かれた主な動機であった。ドレフュス事件発生の要因と背景、顛末について漠然とは理解していたものの深くは理解できていなかった。本書はドレフュス事件をメインに語られたものではないが、概ね期待していたものは得ることができた。著者の主張する国家、共同体、社会の区別には今ひとつ腑に落ちない点もあったがむしろ本書の主題とする大逆事件の起きた日本との対比は興味深かった。2023/05/07

かもめ通信

16
『失われた時を求めて』からの派生読書。ドレフュス事件のことを知っておきたくて。2021/02/07

ヒナコ

14
「社会的なもの」を考えるべく、読んでみた作品。 本書は、フランスにおけるドレフィス事件と、日本における大逆事件という二つの冤罪事件と、冤罪事件の被害者を擁護したエミール・ゾラと永井荷風とを比較しつつ、フランスと日本におけるヒューマニズムの発展の違いを考察したものである。 ドレフィス事件が起こり、フランスの知識人たちはドレフィスの無罪を訴える言論戦を展開させた。その一人がゾラであり、彼はドレフィスがユダヤ人であることから寄せされた偏見を、人権思想に戻づいた万人の平等の理念で批判した。→2022/07/19

Tom

7
その通り!としか言いようがない。日本人の失敗や貧困を「自己責任」に帰する態度も、日本に社会がないことを物語っていると言えるだろう。日本人はまず近代的な民主主義や基本的人権の概念の勉強からやり直したほうがよろしい。そうしないことには日本は滅びる。ゾラの引用文を読んでて、何度も涙が出そうになった。今度、著作を読もう。昨年やってたドレフュス事件の映画『オフィサー・アンド・スパイ』を観てなかったので観よう。最後は天皇制への批判なのだが、日本「国民」として躾けられていることこそ、まさに日本人の他国人、とりわけ→2023/01/22

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