出版社内容情報
徳川将軍も頼りにした「神つかい」吉田神道。「吾国開闢以来唯一神道是也」と謳い、全国の神社を支配下に収めた彼らの、盛衰を描く徳川将軍も頼りにした「神つかい」吉田神道。「吾国開闢以来唯一神道是也」と謳い、全国の神社を支配下に収めた彼らの、盛衰を描く
井上 智勝［イノウエ トモカツ］
著・文・その他
内容説明
徳川家康のブレーンとして名高い金地院崇伝曰く、「神ならば吉田存ずべき儀」。幕府の権力が直接及ばない「神」の領域を、「吉田の神主」たちは、いかにして手中に収めていたのか。近世史の一断面として、神祗管領長上吉田家の盛衰を見通す。秀吉も、義満も、徳川将軍たちも頼った「神使い」、その盛衰を描く歴史学。
目次
序 天下人と天上の神
第１部 神使い（吉田山斎場所―本朝無双のパワースポット；神祗管領長上―神道界のリーダー；宗源宣旨と鎮礼―神々を従わせるマジカル・ドキュメント；亡魂祭祀―神様のクリエイター）
第２部 零落と再興（神になった天下人たち；是非に及ばず；上下喜悦）
第３部 鍍金と正金（黄金の日々；立ちこめる暗雲；剥がれゆく鍍金）
結 神と葵
著者等紹介
井上智勝［イノウエトモカツ］
１９６７年生まれ。京都市出身。立命館大学文学部史学科卒業。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科単位取得退学。博士（文学）。現在、埼玉大学教養学部准教授。専攻は、日本近世史（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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中年サラリーマン
18
古代日本を席巻した宗教は仏教。日本で神道が体系化されたのは中世。そこに浮かんでくるのが吉田家。吉田家がどう神道を体系化、そしてメジャー化したのか。そして、いかにして衰退していったのかを著した本。江戸時代の白川家との争いで日本全国に神道を根付かせ明治維新に間接的ながら影響したというのは面白い。2014/05/10
しずかな午後
10
『徒然草』の作者・兼好法師を勝手に家系図に組み込んで、「吉田兼好」という架空の人物を生み出して人々を騙してきた男――吉田兼倶。彼が大成した吉田神道は、その後江戸幕府の庇護によって神社界の頂点に君臨することになる。しかし、その道筋は一筋縄ではいかない。吉田兼倶、兼右、兼見の三代は、いずれも政治的嗅覚に優れていて、ほとんど詐術まがいの手口で時の権力者と結びつき、吉田家の地位を向上させていく。そのやり口はすごく血を感じた。2023/02/13
hexia
4
平安から江戸まで、神道を司った吉田家の栄枯盛衰を描く。歴史上の人物の思考を、本人の発言として記載してしまう描写はまるで学習漫画で、初学者の私は楽しめたが、まじめに読みたい人には邪魔なのかもしれない。ともかく神道の宗家、吉田家・白川家の動静を中心とし、権威が生まれ衰えるさまがわかりやすく描写され、面白かった。また、祭神を整理し官位を与えることが、日本全国の土着神を記紀神話に接続する役目を果たし、明治維新以降の国家形成を円滑ならしめたという指摘は面白い。このまま吉田神道と国家神道との関わりについて読んでみたい2016/01/14
nori
4
I expected this book about historical stream to State Shinto in Meiji era. How including into Tokugawa feudalism with shinto is well explained. But it may not be enough to delivery certificate to local shrines as reasons of generating new form of shinto.2014/01/15
メルセ・ひすい
4
伊勢外宮の権禰宜、出口延佳は「神敵」吉田家に対して天児屋命とは無関係､系図は捏造だ。吉田は元々亀の甲羅を灼いて占いをしていた神祗官の下級技術吏員だ。過去先祖が神祗伯に就任したことがない。「神祗管領長上」の職は、亀の甲羅を灼く技術者の創作だ…天下人と天上の神。徳川家康のブレーン…金地院崇伝曰く、「神ならば吉田存ずべき儀」。幕府の権力が直接及ばない「神」の領域を、「吉田の神主」たちは、いかにして手中に収めていたのか。近世史の一断面としてー神祇管領長上吉田家の盛衰を見通す。神使い 零落と再興 鍍金と正金 神と葵2013/04/01
