出版社内容情報
自由主義と社会主義の総克で昭和史を再検討。既成政党型の自由主義か社会大衆型の平等主義かー。軍ファシズムの台頭によって忘れられた戦前の言論界、政界の大論争。「格差か自由か」の原点がここにある!
内容説明
第二次世界大戦前夜の一九三〇年代の日本では、軍ファシズムと自由主義と社会主義の三つ巴の中で大論争が行われていた。既成政党=民政党と政友会が掲げる「自由」「反軍反ファッショ」に、「経済的平等」を掲げて真っ向から挑んだ無産政党=社会大衆党。平和が担保する「自由主義」か、社会底辺層までも救い上げる「社会主義」か。「昭和デモクラシー」と名づけ得る、思想の対立相克。
目次
第1章 反ファッショか格差是正か―馬場恒吾と蝋山政道(近代史、二度めの転換期;「平和と自由」か「格差是正」か;一九三七年五月八日の座談会 ほか)
第2章 民政党の二つの民主主義―永井柳太郎と斎藤隆夫(党内部の相克;二人の足跡;「国家の利」か「不平等是正」か ほか)
第3章 「革命」と「転向者」たちの昭和―野上彌生子を読む(「同時進行」という意義;「黒い行列」の時代―転向者たちへのまなざし;「迷路」の時代―共感とアカデミズムの間で ほか)
著者等紹介
坂野潤治[バンノジュンジ]
1937年、神奈川県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程を中退。文学修士。東京大学社会科学研究所教授、千葉大学法経学部教授を経て、東京大学名誉教授。専攻は、日本近代政治史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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