講談社選書メチエ
近代日本の陽明学

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  • サイズ B6判/ページ数 244p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062583695
  • NDC分類 121.55
  • Cコード C0312

出版社内容情報

近代日本が堕ちた「善意」の闇。善意が起こす「革命」はタチが悪い! 我々が創出した「近代」の問題の本質は、陽明学と水戸学の系譜が交差するとき明らかになる。陽明学の新たな解釈史にして、日本近代思想史の驚くべき読み直し。(講談社選書メチエ)

プロローグ 靖国「参観」の記
エピソード1 大塩中斎――やむにやまれぬ反乱者
エピソード2 国体論の誕生――水戸から長州へ
エピソード3 御一新のあと――敗者たちの陽明学
エピソード4 帝国を支えるもの――カント・武士道・陽明学
エピソード5 日本精神――観念の暴走
エピソード6 闘う女、散る男――水戸の残照
エピローグ 陽明学サガの終焉


小島 毅[コジマ ツヨシ]
著・文・その他

内容説明

善意が起こす「革命」はタチが悪い!我々が創出した「近代」の問題の本質は、陽明学と水戸学の系譜が交差するとき明らかになる。陽明学の新たな解釈史にして、日本近代思想史の驚くべき読み直し。

目次

プロローグ 靖国「参観」の記
1 大塩中斎―やむにやまれぬ反乱者
2 国体論の誕生―水戸から長州へ
3 御一新のあと―敗者たちの陽明学
4 帝国を支えるもの―カント・武士道・陽明学
5 日本精神―観念の暴走
6 闘う女、散る男―水戸の残照
エピローグ 陽明学サガの終焉?

著者等紹介

小島毅[コジマツヨシ]
1962年生まれ。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学大学院人文社会系研究科助教授。専門は中国哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

34
パフォーマティヴな衝動を隠さず、対象に取り込まれている文体こそが陽明学だと分かっている露悪的な著者による、歴史的な文脈でしか聞いたことの無い陽明学の思想的系譜を辿っているユニークな本です。内村鑑三について、反権力で個人主義的な点がプロテスタンティズムと親和性が高い陽明学の体現者と論じられると、何だか本当の様な気になっていきます。とはいえ、独立不羈の在野精神は全て陽明学というのは少々言い過ぎの様な気もします。野党の存在が理解されることは近代化成功の秘密なので、ここには更に考察を深めるべき問題が眠っています。2021/01/18

樋口佳之

22
明治には「日清戦争」と相手側を正式な国名で呼んでいるのに、昭和には「支那事変」(プロローグで紹介したように靖国神社での呼称)が起こる。相手の正規の国名は中華民国なのだから、その意味では「日華事変」であるべきだし(実際この言い方もある)、そもそも宣戦布告すらせずに「事変」とは何様のつもりだろう。2018/01/13

小鈴

18
『シニア左翼とは何か』『日本会議の研究』を読んでこの本を思い出した。denzさんの感想にまとめられているようにこの本は「おのれみずからの本心に立ち返り、その澄みわたった清い精神を外界に及ぼして平和な社会を築いていこう」という陽明学的心性の人々をめぐる思想史なのだが、学生運動とその裏打ちする民族学派の対立を継承するシールズと日本会議&ヘイト、あまりに似かよってませんか、心性が。この陽明学的心性を超剋しなければ新しい市民運動は開かれないかも。いやむしろ運動とはそういうものなのか。要再読だな。2016/05/31

小鈴

13
タイトルの堅さとは裏腹に、水戸学から始まる革命思想・陽明学の思想史と血脈の物語は、明治、大正、昭和を経て戦後の社会主義者山川菊栄と三島由紀夫の切腹で幕を閉じる、その六つのエピソードに引き込まれてしまった。思想史的なピークはエピソードⅣ「帝国を支えるもの―カント・武士道・陽明学」、著書のピークはやはり最終章だろう。日清戦争での勝利が、開化と国粋の二項対立を乗り越え、武士道を介してカントと陽明学をつなげ、巷でよく言われる「日本精神」が完成する。そして観念の暴走を突き進み、私たちは敗戦をむかえるのだった。2012/04/17

isao_key

11
近世から現代に至るまでの日本における陽明学の系譜を紐解き、これまで日本人が解釈してきた陽明学について考証している。キリスト教徒である内村鑑三が『日本及び日本人』の中で、西洋人に対して日本が野蛮な国でないこと、キリスト教国でないが立派な人物が出ていることを示そうとした。その中で西郷を紹介する。西郷はキリスト教徒でなかったが、正義のために近代国家樹立運動に邁進できたのはキリスト教に代わる精神的支柱があったからだと説明した。それが陽明学であった。内村はまた日本陽明学の祖、中江藤樹についても高く評価している。2015/09/21

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