講談社選書メチエ
思想史のなかの臨床心理学―心を囲い込む近代

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  • サイズ B6判/ページ数 238p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062583114
  • NDC分類 146
  • Cコード C0311

内容説明

「心」を「個人の内面」と同一とする発想が生まれた近代。意識の重視、言葉と意識の結びつきへの信頼を軸とする理論は、歴史の中で初めて生まれた心の捉え方であった。西洋近代文明の申し子・臨床心理学の「意識」観が、中世の「認識」観に較べていかに際立つかを検証する。

目次

プロローグ 臨床心理学の実像を求めて(「無意識を発見」しなかったフロイト;歴史が浅いという奇妙さ ほか)
第1章 「意識の学」としての精神分析(意識すれば治る!は本当か;革命思想から産まれた心理療法 ほか)
第2章 意識はどう扱われてきたか(意識は信用がなかった;神学と錬金術と心理学 ほか)
第3章 「意識の国」の臨床心理学(派閥が「専門」になる時代;実証主義と「人間教」の関係 ほか)
第4章 無意識の宗教としての臨床心理学(臨床心理学誕生の舞台;新しい二元論は「心の囲い込み」 ほか)

著者等紹介

実川幹朗[ジツカワミキロウ]
1949年、千葉県生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。同大学院修士課程哲学専攻修了。京都大学大学院博士課程(臨床心理学)満期退学。現在、姫路独協大学教授。哲学・心理学・宗教学・民俗学を総合した「世界学」を提唱
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感想・レビュー

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sk

7
意識・無意識の思想史。この観点の思想史は初めて読んだが、とても刺激的だった。2016/08/05

さえきかずひこ

3
臨床心理学の成り立ちについて、科学史/思想史的に丁寧に解き明かしている。心理療法が、既存の宗教と似た役割を果たしているとの踏み込んだ記述には驚かされるが、納得のいくところも多い。良書である。2012/06/29

富士さん

2
再読したのですが大事な所がモヤモヤして釈然としませんでした。でも、なぜだかすごい刺激的な本なのです。意識中心と無意識中心を対概念としてヨーロッパ思想史を読み解く試みとしてはめちゃくちゃおもしろいし、示唆に富んだものです。特に錬金術や魔術の思想的な背景が、物質が自己発展する可能性というアリストテレス的なものであるというのには目からウロコでした。ただ、意識中心と言っても、意識がすべてを捉えられるというのと意識が捉えたものしか認識できないというのでは根本的に違うように思うのですが、ごちゃごちゃになってませんか?2016/04/09

俊介

0
19世紀後半に生まれた臨床心理学は、その時代の思想全般に起きた「意識革命」の中から生まれたものであると著者は説く。意識革命とは、それまでの無意識中心主義から、意識中心主義に移ったことを指す。著者の論として斬新なのは、あたかもフロイトなどの精神分析派が「無意識」を「発見」したと誤解されがちなところを、いや、歴史的にはむしろ無意識こそ、それまでの宗教(ユダヤーキリスト教)思想の中では主流であり格式の高いものだったとするとこだ。理屈としては難しかったけど、納得するところも多かったし、1つの見方としては参考になる2019/01/30

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