講談社選書メチエ
“標準”の哲学―スタンダード・テクノロジーの三〇〇年

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  • サイズ B6判/ページ数 232p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062582353
  • NDC分類 509.13
  • Cコード C0336

内容説明

生産技術の革命児たち。グリボーヴァル、セラーズ、テイラー…。戦争、企業、市場が動かした近代最大のプロジェクト=「標準化」。「互換性技術」からデファクト・スタンダードにいたるまでの、人間ドラマとその思想を描く。

目次

プロローグ 水晶宮の鍵と銃
第1章 ジェファーソンを驚かせた技術―標準化技術の起源
第2章 工場長殺人事件を超えて―アメリカ式製造方式の誕生
第3章 工廠から巣立った技術者たち―大量生産への道
第4章 ネジの規格を決める―互換性から標準化へ
第5章 旋盤とレンガ積みの科学―テイラー主義の出現
第6章 標準化の十字軍―国家による標準化とその限界
第7章 標準化の経済学―デファクト・スタンダードの功罪
エピローグ スタンダードの行方

著者等紹介

橋本毅彦[ハシモトタケヒコ]
1957年生まれ。東京大学大学院修士課程修了。ジョンズ・ホプキンズ大学博士課程修了(Ph.D.)。現在、東京大学先端科学技術研究センター教授。専門は、科学史、技術史
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kaizen@名古屋de朝活読書会

102
歴史を知ると真実が浮き出る。標準が、鉄砲を戦場で修理する必要性から強調されたことがあることを知りませんでした。互換性部品からなる銃の製造方法について、オノレ・ブランさんがフランスでアメリカ人に説明したとのこと。機械部品の設計図が重要なこともわかりました。目からウロコ(鱗)が落ちる。QWERTYキーボードのように、既存の様式がそのまま生き残っていることの経緯は書いている。現在もなぜ、QWERTYが変わらないかの分析は十分ではない。ISOのOSIに対してTCP/IPがRFCからISOにまで登りつめた経緯なし。2014/03/13

ゲオルギオ・ハーン

23
同著者の『「ものづくり」の科学史』の改稿・増補前の本で主に工業製品の大量生産とそれを実現する標準化の歴史を書いている。部品を作って組み立てる、というのは今では普通だけど100年くらい前ですら、部品を作って「ヤスリがけ」して組み立てなければならなかったのだから標準化がどれだけ重要だったのかがよく分かる。あまり印象が良くないフーヴァー大統領だけど商務長官時代に積極的に標準化を推し進め、工業力を飛躍的に向上させた。国家百年の計とはこういう政策のことかもしれない2023/11/25

Mentyu

5
博論の関係で5年ぶりの再読。標準化(規格化)そのものは秦の始皇帝の度量衡統一に代表されるように、古代から社会制度の一環として行われている。しかし、近代以降の標準化は、銃火器の部品の互換性にはじまり、あらゆる機械の部品を精密な基準で統一することで、生産力と経済的効率を上げることに主眼が置かれている。そこには国民国家の成立と総力戦、そして近代資本主義の確立という要請が介在しており、前近代における規格統一との異質さが見てとれる。2021/05/22

Mentyu

2
物質文化を研究する身としては大変示唆に富んだ内容だった。世の中にはスタンダードとされるモノ(それこそ度量衡からOSまで)が山ほどあるのだが、そうした「標準」を求める精神がなぜ生まれたのか追及し、実際の物質文化にどのように反映されてきたのかを18世紀フランスを起点にして読み解いていく。精神文化の反映として物質文化を取り扱う研究は、資料の豊富な近現代においてこそ力を発揮する。考古学のようにモノについて即物的かつ実証的に論じる態度も重要だが、一方で過去の人間によりそった研究も求められているところなのだろう。2016/08/17

富士さん

2
近代工業のみならず、近代社会の根本思想の来歴を探る名著。再読。当然工業の標準化の歴史が書かれているのですが、標準化による分業における芸術産業の最右翼であろうアニメ産業はテーラ・フォード主義とは切っても切れない関係であって、アニメを知る上では本書の内容は抑えておかなければいけない基礎知識だと思われます。工業の標準化を理念的なものとしてどこが違ってどこが同じなのかを知れば、工業研究の方法で有効なものを導入できるでしょうし、今に至るまで重大懸案である労働問題も工業的な面から見れば新たな発見があるかもしれません。2016/05/02

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