講談社選書メチエ
地上の夢キリスト教帝国―カール大帝のヨーロッパ

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  • サイズ B6判/ページ数 238p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062582247
  • NDC分類 230.4
  • Cコード C0322

内容説明

神によって戴冠されたフランクの王カールは、本当にローマ皇帝となることを望んだのか―キリスト教を柱とする国造りに邁進した王、東方ビザンツに対峙する西の帝国を作り上げ、「ヨーロッパの父」と謳われたカール大帝の理念と軌跡を追う。

目次

第1章 カロリング家の王権
第2章 キリスト教社会拡大への果てしなき戦い
第3章 ラテン語で結ばれる知のネットワーク
第4章 「旅の王権」と「首都」アーヘン
第5章 西方キリスト教世界の指導者
第6章 皇帝戴冠―ヨーロッパ誕生
第7章 神の国の建設

著者等紹介

五十嵐修[イガラシオサム]
1957年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院文学研究科博士課程修了。現在、東洋英和女学院大学国際社会学部助教授。専攻は西欧中世史
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ようはん

23
カール大帝及びこの時代のヨーロッパに関しての本は初めて。イベリア半島がイスラム勢力に征服されていたは知っていたが、ドイツのザクセン地方等まだ異教徒の勢力が根強い地域も思っていた以上に多かった。カール大帝の功績は異教の地を征服しキリスト教の力を用いて統治し、中世ヨーロッパ社会を完成させた事であろうか。2022/01/19

富士さん

6
再読。本書の文脈ではカロルス大帝のタイトルの方がいいような気もしますが、よくまとまったカール大帝の伝記でした。事実であるよりも認めさせることが重要な偽書政治や識字能力などの当時の文化水準、大帝の思わぬ親バカぶりも知れて、この時代の雰囲気がよくわかりおもしろい本です。しかし、本書で一番注目すべきなのは、国が宗教と一体化し、支配と信仰、侵略と宣教を両輪とした聖戦的な国家がまさにこの人によってはじめられたと著者が説かれているところです。これは、宗教とはどこまで暴力的なのかを考える上で示唆的なことだと思います。2018/05/31

なつきネコ

5
ヨーロッパの中でもかなり好きな人物なので、詳しく知りたくなって読んでみた。しかし、読んでみたら父のピピンのすごさ。たいした王ではないと他の本で読んでいたが、改めて西ヨーロッパにキリスト教を広めるきっかけを作ったのは大きい。さらにカール大帝とローマ教皇とあれほどの交流があった事にはビックリした。なるほどカールに戴冠させる下地は揃ってたわけだ。それとカールとゲルマンとの関わりは、確かに騎士ロマンが語り次がれ、ヨーロッパの人々が憧れるに相応しい。カール大帝の本は日本では少ないので、読む事ができて良かった。2014/03/08

中島直人

5
キリスト教をベースに国造りを考えたカール大帝。その結果、ヨーロッパの性格を決定づけることとなった、その帝国。単なる英雄譚ではない、その事績がすんなりと理解出来た。良かった。2013/07/06

サアベドラ

5
史料通り敬虔なキリスト教君主としてカールを描いているが、自分にはむしろキリスト教の権威と教会を最大限に利用した、抜け目ないゲルマンの王、という印象を受けた。著者はカールがローマ皇帝位を得るメリットはほとんどなかったと書いているが、一代で獲得した広大な版図の支配の正当性を強化するという意味で十分メリットがあったと思うのだがどうだろう。それにしても、日本語でカール大帝の本を出しているのはこの人だけ(しかももう亡くなってる)ってのが、日本の西洋中世史研究の層の薄さを如実に表してるなー、なんてことを思ってみたり。2012/07/28

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