内容説明
ラジオ放送の開始とともに生まれ、真珠湾攻撃の朝にも発信された「英語講座」。教養としての難解な英文学、受験英語=解読技術をへて、総動員体制下の実用英語会話へ。電波にのる「英語」の変遷に、いかなる力が作動したのか?現代日本の英会話熱、英語教育の原点を抉りだし、メディアと英語と教養の節合過程を解明する。
目次
序章 放送と教養の出会い
第1章 最初の「英語講座」
第2章 「英文学」の思考様式
第3章 英語をめぐる内戦
第4章 第二放送と「受験英語」
第5章 時局化のなかの「英語会話」
第6章 「世界」と「日本」と英語会話
第7章 「英語」のような「国語」
著者等紹介
山口誠[ヤマグチマコト]
1973年生まれ。埼玉大学教養学部卒業。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了。現在、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程在学中。実践女子大学非常勤講師。専攻は、メディア研究、文化社会学
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感想・レビュー
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Riopapa
7
英文学の地位が戦略的に作られたものであったということに驚き。読み応えのある本でした。2015/10/24
Shiori
3
あまり読書に時間が取れなかった中、やっと最後まで読みきれました(^_^;)これまで受けてきた学校教育の中で英語と日本人の関わりを教わってきた覚えがないわたしは昔の人々=英語は知らない、海外なんて知らないというイメージを持ってしまっていたが、それが全くの的外れな考えであることが理解でき、では当時の日本人はどのように英語と親しんでいたのかということも知ることができた。今ほどメディアも教材も全くない中で外国語を学んでいたって本当にすごいなぁ…とてもためになった一冊でした。2015/10/28
hiromin3
1
これは、非常に面白かった。2001年出版の本で、10年以上も前に出た本で、当時から知らなかったのは残念。日本のカルチュラル・スタディーズの傑作の一つだといえるだろう。この後、江利川さんや寺沢さんが書いた英語史のいい本が出ているが、やはり英語学者でない山口さんが書いたこの本のように斬新なところがないようにも思う。2014/09/23