内容説明
「藩を廃す」。それは明治四年、瓦解寸前の政権を救う大久保らの「賭け」だった。電光石火の奇手に茫然とする藩主、公家、士族。頻発する藩主引留め一揆。現代日本にいたる「県」統一システムをもたらし、西洋化の出発点となった、中央集権国家誕生までの激動の舞台裏を描く。
目次
序章 藩が消えた日
第1章 維新政権が誕生したとき
第2章 版籍奉還と藩体制
第3章 中央集権化への道
第4章 一大飛躍としての廃藩置県
第5章 廃藩置県の衝撃
第6章 明治中央集権国家の誕生
著者等紹介
勝田政治[カツタマサハル]
1952年生まれ。早稲田大学卒業後、同大学大学院博士課程修了。現在、国士舘大学助教授。専攻は日本近代史
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感想・レビュー
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レアル
56
王政復古辺りからの歴史背景の中、どのようにして廃藩置県へと至ったかを説明されている。最初にこれほどの大改革が、皆に極秘で短期間で計画されて実行されたことがまず驚き。またなぜ他藩はそれを受け入れたのか、そして無血改革とは言われてるこの廃藩置県の断行に至るまでの危うさもこの本に描かれている。面白い本を読んだと思う。しかし強いて言えば歴史的背景ではなく、廃藩置県そのものに紙数を増やして描いてくれていれば、もっと楽しめたように思える。ただ歴史的背景をキチンと書いてくれてるおかげで凄く分かり易い。2018/01/23
中年サラリーマン
11
廃藩置県によって、分権から中央集権へ。当時、これがいかに日本国生き残りへ寄与したか。本書を読みながら想像するのもよいかもしれない。2014/09/13
gissy
5
大政奉還から廃藩置県まで実に様々なことが綱渡りで行われてきた事がよく分かる一冊でした。廃藩置県を知らされた岩倉の心境など興味深いものがありましたね。2013/11/04
印度 洋一郎
3
王政復古の大号令から廃藩置県までの経緯を、比較的わかりやすく整理している。歴史の教科書だとまるで既定方針であるかのように書いてある廃藩置県は、内部対立で瓦解に瀕した新政府の窮余の奇策、半ば上からの革命のようなものだった。いわゆる明治時代は、ここから始まるといっていい。新政府の機構の変遷と指導者の動きを、この問題と絡めてみると、よくわからない維新の前後がすっきりするのも好感触。何故諸藩はすんなり廃藩に応じたのか?という疑問にも、ちゃんと答えがあった。維新後、窮乏して自ら廃藩を望み出る藩も少なくなかったのだ。2014/04/22
hr
2
廃藩置県の流れがスムーズに理解できた。また当時の政府、藩主(知藩事)、民衆それぞれのムードがよく伝わってきて面白い。一番に興味深かったのは、岩倉使節団中の各省割拠体制の雰囲気。「明治」という時代に好意的なノスタルジーを持つ人は、このあたりの歴史をなぞってみても良いと思う。2013/03/18