講談社選書メチエ
とんかつの誕生―明治洋食事始め

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  • サイズ B6判/ページ数 252p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062581790
  • NDC分類 383.8
  • Cコード C0321

内容説明

明治維新。それは1200年の禁を破る「食べ物革命」だった。天皇の肉食、政府・知識人の西洋料理キャンペーン、そして反西洋食騒動。とまどう庶民はやがて、自分の口に合う牛鍋・あんパン・ライスカレー・コロッケを生み出していく。「洋食の王者」とんかつが誕生するまで、食卓上60年の疾風怒濤を生き生きと描く。

目次

第1章 明治五年正月、明治天皇獣肉を食す
第2章 牛肉を食わぬ奴は文明人ではない
第3章 珍妙な食べ物、奇妙なマナー
第4章 あんパンが生まれた日
第5章 洋食の王者、とんかつ
第6章 洋食と日本人

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ひばりん

15
日本の食文化が被った明治の断絶線を二つ調べてみる。第一に、いかにして肉食忌避感が失われたか。第二に、パン食導入or米食維持の論争はどうなったか。すると交差上に浮上するのは、なんと「トンカツ」! 前提となるのは、天ぷら以来の揚げ物文化。食材毎に揚げる時間やタイミング、回数をコントロールする日本特有の天ぷら技術があって、はじめて欧米には存在しない「”パン粉”をまぶした”厚切り””豚肉”の揚げ物(白米・味噌汁付き)」が誕生する。鷗外脚気論争や、あんぱんの誕生にも触れて、明治の食文化研究の入門書として最適か?2021/03/07

デューク

8
1872年、明治政府は天武天皇以来1200年にも及ぶ肉食禁止を解禁し、西洋との体格差を埋めるべく肉食を奨励し始めた。当初はこれに反対するテロリストが皇居に乱入するなど、様々な軋轢を経て、洋食は日本の新たな食文化として発展していく。明治初期に牛鍋やすき焼きが誕生した必然、肉食の普及に貢牛鍋、アンパン、コロッケ、カレーライスといった洋食が生まれた背景。そしてその土壌のもとに洋食の王者、とんかつが誕生するまでの物語。我々が普段口にしている食事が、今の形になるまでの必然と偶然を追った一冊。おすすめ2021/02/13

よく読む

6
非常におもしろい。西欧化に向けて獣肉解禁し、知識階級や天皇が率先して牛肉を食べ始める。当時の人々の驚きや戸惑いが滑稽で笑わずに読めない。すき焼きやとんかつは、西洋食を日本人向けに変革したものだった。神戸牛が19世紀から大人気だったのは驚いた。饅頭とパンからヒントを得たあんパンを生んだ木村さんもおもしろい。彼がいなかったら菓子パンどころか、パンが日本にどう普及していたかも怪しい。読んでとんかつを食べたくなった。2017/02/19

蛭子戎

6
明治以降日本でも西洋料理を需要することになり昭和初期までに独特の洋食として成立することになった。著者曰く、洋食とは小麦粉料理の和食への導入であると。確かにアンパン、カレーライス、コロッケと小麦粉が無くてはならない存在になっている。その集大成がとんかつであって、焼くでも煮るでもなく、たっぷりの油に浸して職人の感によってタイミング良く揚げるのは西洋の料理人には苦手らしい。ここに日本料理としての洋食が確立したのであった。そんな固いことより読むと腹が減ってくる。とんかつよりカツカレーのほうが出来たの先らしい(驚)2016/07/07

さくちゃん

6
幕末・明治・大正の時代に、どのようにして肉食が人々の間に広まり、西洋料理になじみ、そしてそこから日本独自の洋食やとんかつ、あんパンなどが生まれたのか、、その歴史は興味深いことばかり。でも一番は、日本独自の洋食は、西洋料理を米飯に合うように改良・吸収してできたということ。日本人とお米のつながりの深さを再認識しました。2013/11/12

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