講談社選書メチエ<br> 自己コントロールの檻―感情マネジメント社会の現実

講談社選書メチエ
自己コントロールの檻―感情マネジメント社会の現実

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 252p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062581776
  • NDC分類 361.4
  • Cコード C0336

内容説明

“感情は危険なものです”“「感情の知性」を習得して、よりよいあなたに!”…。高度な合理化とセルフコントロールが支配する「心理主義化社会」の時代。携帯技能=「心の知識」が可能にしたソフトな「鉄の檻」。その新たな管理の現実とは?「人格崇拝」「マクドナルド化」をキーワードに、現代社会の息苦しさを解読する。

目次

はじめに 心の知識を求める人々
第1章 心理主義化社会
第2章 高度化する「自己コントロール」
第3章 人格崇拝の厳格化
第4章 「マクドナルド化」する個人
第5章 フレキシブルな社会の編成
第6章 「合理性の非合理性」
おわりに 社会は存在しないのか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たばかる

20
理論社会学の立場から社会の心理学化の警鐘を鳴らす。本書のキーワードは「高度な人格崇拝」とリッツァーの「マクドナルド化」の個人に対する適応だ。前者は現代において人々の雑多な交わりや人間関係の不安定性が相互の人格の尊重を過剰なまでに促す。これを「現代社会は対人関係における高度な道徳を要請する社会である」と表現している。そこでの道徳規範が個人の内面に作用する結果、自身の人格のマネジメントが求められる。心理学的マニュアルという“規範”に従って人々が“自動的”に社会に“適応”する、という構造はマクドナルドと同じだ→2021/04/23

きいち

19
心理学的スキル信奉に冷や水を浴びせる、貴重な本と感じた。◇いまココだけを考えれば、他人や世の中は与えられた環境としてカッコに入れ、自分で何とかできる自己を変える、そのためのスキルである感情制御やポジティブ認知の有効性は日々実感している。この本の指摘は、皆が善かれと思って取り組んだ結果、かえって世の中が暮らしにくくなってしまうという、言わば「合成の誤謬」。マナー問題や職場の困ったちゃんは、再帰性の問題の最先端なんだなあ。◇で、じゃあどうする?明確な答えはもちろんないのだが、意識しとくだけでも大分違うかもな。2013/10/31

ろぶくん

11
心理学的知識がカウンセリングや自己啓発書などを通じて世に広くいきわたった結果、本当は社会的状況が起こした問題であるにもかかわらず個人の内面に原因があるかのような傾向が生まれている。そして、人格崇拝が高度化・厳格化することにより、なめらかな人間関係が生み出される一方で息苦しさも生み出している。読みながら、最近の自粛警察・他県ナンバー狩りを思い出した。2020/12/20

とみた

5
心理主義化が人格崇拝の高度化・厳密化と合理化をもたらす。しかし、それ故に人格侵犯と非合理化が実はもたらされているという内容。儀礼的無関心を装う「やさしさ」によって人格侵犯は起こりやすくなっている。自分にも当てはまるのではないかと感じた。2011/10/25

新橋九段

3
社会がその人の問題の原因をその人自身に求めるようになったという話。だが、「人格の神格化」と「社会のマクドナルド化」とのつながりが分かりにくいような。2019/06/29

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/370005
  • ご注意事項