内容説明
遠くウラルの麓まで拡がる沃野に、東方ゲルマン大帝国を―。総統ヒトラーと、その忠実な従者ヒムラーに妄想が宿るとき、鉄の規律の親衛隊が、整然とホロコーストへ動きだした。狂気と合理性に彩られたナチズムの悪夢を読み解く。
目次
序章 ユートピアとしてのナチズム
第1章 近代の地下水脈
第2章 ナチズム運動とヒムラー
第3章 親衛隊国家のイデオロギー
第4章 東方ゲルマン大帝国構想
第5章 最終的解決―二度と書かれざる栄光
終章 ユートピアの後で
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぼけみあん@ARIA6人娘さんが好き
1
以前ヒムラーの写真を見て、どことなくシャイなその風貌に、アイヒマン以上に「悪の凡庸さ」を感じて興味を覚えた。本書によれば、従来ナチスないしヒトラーのものとされてきた人種政策の多くがヒムラーの理想主義によって脚色されたもので、彼の人種理論はヒトラーからも理解されないものだったらしい。従ってナチスの神秘性や宗教性なども、その大半はヒムラーのものだった。ナチスのホロコースト政策について知るにはヒムラーを無視しては不可能なようだ。その辺の事情を知る入門書として本書は類書とは違う意義を持っている。2012/03/27
shigenori sugimoto
0
ユートピア思想って危険なのかもだけど、政治家は自国をユートピアに導く位の信念と覚悟ないと駄目な気がするよ。2013/01/17