内容説明
父と子と精霊―キリスト教は父性の宗教だった。教義が排除した「女性性」を、しかし、民衆は聖母の中に見いだす。「異端」の存在は、やがて「神」の座へと昇る。キリスト教の「女神」、聖母マリア。処女にして母、婢にして女王、人類が永遠に憧憬する、「女性的なるもの」の化身。その多彩な容貌に、さまざまな角度から光を当てる。
目次
第1章 マリアの生涯
第2章 マリアはどこから来たのか
第3章 諸宗派とマリア
第4章 民間信仰の中のマリア
第5章 ドグマ狂騒曲
第6章 奇跡を起こすマリア
第7章 マリアの七つの顔
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
73
父・子・聖霊の三位一体からもわかる「父」を象徴する宗教としての信仰に排除された「女性性」を見つめることでマリアを考えていきます。歴史的背景から踏み込むマリア像とも言えるでしょう。本来の父性宗教で会ったキリスト教にマリア信仰が生まれていった経緯を知ることができました。母なるものに聖性を見出す傾向のある昔ながらの風習がキリスト教に絡み、聖母マリアの存在が認められていったように思えます。その意味では元来のキリスト教は極めてプロテスタント的だったという見方もできるかもしれません。2016/11/29
崩紫サロメ
11
著者の専門は比較文学及びカトリック史のため、最初の章でカトリック・正教会・イスラームにおけるマリアの位置づけは紹介しつつも、カトリック地域において、人々がマリアをどのように信仰し、どんな思いを託しているのか、という話が中心となる。例えばマリアの御出現というのが20世紀前半のカトリック教会においては異教・フォークロア的なものとして排除されるようになったが、1970年にそれが解除され、メジェゴリエのマリア(1981年)のように「奇跡」は続いている。2020/03/17
Nabe
4
大学の課題用に読破。マリアとは。そしてマリア信仰とは。2014/12/15
戸塚こだま
2
幼児退行がどうのと言い出す下りが時々あって、そこは読みづらい2017/09/14