内容説明
軍艦、大砲を世界にあふれさせたアームストロング、ヴィッカーズ…。動乱の影には、つねに巨大な「死の商人」たちの姿があった。七つの海を支配した帝国の覇権のもと、彼らはどう行動したのか?近代の宿痾「武器輸出」―その構造を歴史的に抉りだす。
目次
序章 「死の商人」とは何か
第1章 幕末維新を武器からよむ
第2章 アフリカの悲劇
第3章 イギリス銃産業の興亡
第4章 海軍恐怖・虚偽情報・賄賂
第5章 巨大企業、アームストロング社
第6章 軍縮と武器輸出
第7章 兵器産業国有化論争
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
16世紀から20世紀前半までのイギリスの兵器産業の興亡を見る一冊。アフリカの奴隷貿易の一環として盛んになった銃器輸出が、イギリス兵器産業の勃興のきっかけだった。しかもその上得意はヨーロッパ人ではなく、同じアフリカ人を狩り集めるために戦争を行う、アフリカ人達だった。この奴隷貿易によって産業として定着した銃器産業は、アフリカ各地に市場を開拓し、やがて中国へ、そして幕末の日本へと商圏を広げていく。輸出産業だったのでイギリス本国での市場が小さく、19世紀以降は国内市場の確立に苦労していたとは意外だった。2014/04/23
Hiroki Nishizumi
3
実に興味深く引き寄せられて読めた。幕末の日本には廃銃などが押し寄せていたこと。アフリカの奴隷貿易に銃などの武器貿易が密接にからんでいたこと。本国の政策などどうでもよくて儲かればそれでいい。そして軍拡を続ける日本は大のお得意様であったこと。民需への転換は上手くいったためしがない。などなど、とどのつまりは「砂糖に蟻、銃に人」ということか。2022/07/04