講談社選書メチエ<br> 「清潔」の近代―「衛生唱歌」から「抗菌グッズ」へ

講談社選書メチエ
「清潔」の近代―「衛生唱歌」から「抗菌グッズ」へ

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  • サイズ B6判/ページ数 270p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062580984
  • NDC分類 498.021
  • Cコード C0320

内容説明

欧米列強に対抗し、病原菌ゼロをめざして、国家衛生システムを張りめぐらせた明治日本。「衛生唱歌」「衛生博覧会」など精力的な啓蒙は、軍国の強健・健康美志向へと変容していく。そして現代。「抗菌グッズ」=異常潔癖ブームの彼方に、「清潔空間」のグロテスクな未来を透視する。

目次

プロローグ 清潔な国ニッポン
第1章 江戸時代の健康維持システム
第2章 「清潔」の発見
第3章 コレラ侵襲の衝撃
第4章 衛生国家への道
第5章 衛生博覧会という装置
第6章 「衛生」の変貌―健康美へ、強健へ
第7章 「清潔空間」の完成

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アメヲトコ

9
97年刊。日本の近代化にともなう衛生思想の普及過程を追った一冊です。コレラの大流行への防疫対策から、富国強兵のための「健康」な国民づくり、そして「不潔」なものを排除した「清潔大国ニッポン」へ。昨今のコロナが世界を一変させたと唱える人も多いこのごろですが、いやむしろ見えないようにしてきたものが前面に出てきただけなのではという気もしたり。2020/04/07

Mealla0v0

5
ひとは何を以て「清潔」と言うのか? 本書は、近代化のなかで構築された「清潔」の成立を辿る。江戸の風呂好きは、欧米人には「清潔好き」と映ったが、維新政府は欧米流の上下水道などの衛生装置がないことを遅れと思った。コレラ流行を契機とし衛生国家の建設に乗り出した日本は、都市インフラを整備するとともに、博覧会のような視覚メディアを利用することで、人々を清潔の方へ近代化しようとした。そうして清潔空間が構築されると、次いでその延長に「健康」が目指されることになった。「強い兵士」「多産な女性」をつくるためにと。2018/03/12

MIRACLE

0
2.5点(5点満点)。清潔で健康な空間が近代日本に成立していく過程を追跡した本。魅力的な話題である。しかし筆者はその作業に失敗している。本書は議論が未整理なままでの記述が目立つ(とくに第6章以降の、衛生から健康に話題が転換する場面)。健康、衛生、清潔というキーワードがいかにむすびつくかを筆者が放置している。とくに健康、衛生、清潔といった言葉を最初の段階できちんと整理しておかなかったことは、致命的だ。だから不毛な議論になってしまうのだ。2011/08/04

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