内容説明
近代天皇制は、十八世紀末から八十年間にわたる、朝廷の“闘い”のドラマから生まれた。神事や儀礼の再興、復古を通して、朝権を強化した光格天皇。その遺志を継ぎ、尊皇攘夷のエネルギーを結集した孝明天皇。幕末政治史の表舞台に躍り出た二人の天皇の、薄氷を踏むような危うい試みを描き、「江戸時代の天皇の枠組み」を解明する。
目次
第1章 江戸時代の天皇
第2章 光格天皇の登場
第3章 天皇権威の強化策
第4章 鎖国攘夷主義の天皇
第5章 江戸時代最後の天皇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
8
本書は江戸時代に徳川幕府により朝廷全体が幕府の作った規則に抑えられたが、徐々に尊皇攘夷思想が国民の多くに意識されていく過程を書いた好著。やはり日本は皇室と国民の関係が常に良好だったことが推察される。2010/01/28
denz
2
光格天皇を「発見」した好著2010/12/19
石橋
2
面白い!孝明天皇が通商条約に反対したのは世界情勢に無知だったのではなく祖父である「光格天皇以来始まった神聖な皇統意識・君主意識の存在を見逃してはならない」。端々に光る微妙な面白コメントも見逃せない。2009/03/12
katashin86
1
メチエ初版1994年、光格天皇から始まる朝権・皇威強化、政治勢力としての朝廷の構造と幕末に至る変化、そして種々のスイッチを押してしまった孝明天皇の動きを描く。 傍系継承の天皇が時代を動かす日本史によくあるダイナミズムがここでもみられるのが面白い。2021/08/24
たぬき
1
中心は境界により明確化される2012/08/31